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なにかあり/とくになし

とにかく生きる

ECDの今月出る新作「Ten Years After」が
すさまじい。


暗い夜道で聴いていると
不意に誰かの冷たい手を首筋に当てられたような
ぞっとする気分になる。


しかし
よく見ると
それは自分の手なのだった。


これはたまらん。
昔読んだ宇野浩二の小説みたいじゃないか。


ECDばかり聴くのも大変なので
朝は景気付けに
これも今月出るイルリメの新作「360°SOUNDS」を聴く。


これまたすばらしい。


威勢のいい励ましをふりまいているわけでもなく
むしろせつない現状認識なのに
「まだやれそうだ」と思わせてくれる。
一曲目の「トリミング」を聴いていると
わけもなく高ぶる。


考えてみれば
ECDイルリメ
扱っているテーマはほとんど同じだ。


それは「とにかく生きる」ということ。


今日
お店に朝一番で飛び込んできたのは
カナダ人の男性客。


英語の先生として台湾に赴任して3年目。
東京にはペイヴメントのライヴを見るために
彼女とのヴァケーションがてらやって来た。


「今日のヴェニュー(会場)は
 売店でグッズを買うのが大変だって聞いたけど
 早めに行ったほうがいいかな?」


会場は新木場STUDIO COAST
たしかに売店は混むねえ、並ぶねえ、不便だねえ。


「日本のおみやげに
 いい日本の音楽を買って帰りたいが」


ベタだなと思いつつ
はっぴいえんどゆらゆら帝国を薦めた。


「ヨラ? ヨラ? テイコク?」という
彼のイントネーションがおもしろかった。
iPhoneのボイスメモで録音しておけば
何かに使えたかも(何に?)。


残念ながらぼくは行けないんだけど
売店ではラックを祈るよと
彼を送り出した。


しまった、
ECDイルリメ
薦めればよかった。