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なにかあり/とくになし

ロックンロールストーブリーグ

家に届いた出版物の山から
ちょっとはみ出した本が一冊。


そのはみ出した角から見える描線のまるさに
見覚えあり。


それは辻井タカヒロさんの絵だと気がつくと同時に
その本の正体がわかった。


あ、「ロックンロールストーブリーグ」!


安田謙一さんが
「CDジャーナル」巻末で
8年以上に渡り連載しているロック漫筆が
ついに単行本化されたのだ。


破格にして珠玉の名文と
脱力にして慧眼の四コマ・イラスト。


「CDジャーナル」の
あの1ページは
めっぽうおもしろくて
同時に
ちょっとこわい。


そのこわさのもとはなんだろう。


思い出したのは
ちょうど今読んでいた
最相葉月星新一 一〇〇一話をつくった人」(新潮文庫)の中に
星さんが作家として有名になったときに
家の表札が受験のお守りになるといううわさが流れ
次々と何者かに盗まれたというエピソードが紹介されていた。


星さんがその解決策として手を打ったのは
表札の裏に
「不合格」と書いておいたこと。


それを契機に
表札が盗まれる騒ぎは一段落したという。


軽快でひねりが利いていて笑えるけれど
ふと考えると
こわいほどのするどさもあって。


ああ、そんな感じかも。
「ロックンロールストーブリーグ」には
裏返してみると「不合格」と書いてありそうな感じがある。


あ、手にとったのを戻すって意味じゃないですよ。
念のため。


そんなたわごとはさておき
是非みなさまに手に取っていただきたい名著です。