mrbq

なにかあり/とくになし

うたとことばとごはんと何とか。

ねむようこ午前3時の危険地帯」1巻(Feelコミックス)。


パチンコ業界のデザイン事務所で働くおんなのこ物語という設定は
前作「午前3時の無法地帯」を踏襲。
というか、
舞台は同じ会社なので
登場人物もそのまま。


スピンオフ、
いやこれはもう続篇か。


ただし
率直に言って
今回の主人公の方が
感情移入しやすい、と思う。


話は変わって、
前園直樹グループの雑誌「うたとことば。」7号。


今回は「うたとことば。クックブック」というテーマで
音楽と料理についての原稿が集まっている。
執筆者もいつもの倍くらいいる。


こういうテーマで
お呼びがかからないのは
単なるめぐりあわせもあるだろうけど、
うまそうなものを食ってこなかったように見えるという
青少年期の“食歴”の問題もあるのだろうか。


確かに
子どものころはひどい偏食で
たまに外食に行っても
ミートソースか
カレーしか注文しないので
両親を嘆かせ
兄弟を笑わせていた。


「“いつもの”お願いします」と
子どものころから言えたかもしれない
あのころのぼくなら。


まあそんな話はどうでもいいか。


食というテーマにはひとそれぞれのこだわりがあって
かなり読み応えがある。


え? あのひとは一日五食も食べたことあるの?
え? あのひとはめったにお米を炊かないの?
え? あのひとはこまめに食事をつくるの?


そんな予期せぬおどろきも
あちこちにちりばめられていた。


なかでも
唯一見開きで掲載された
長谷部千彩さんの文章は
出会って別れる、そして忘れるという
男女の出会いにおける女性の心理を描きながら
おぼろげに
しかし残酷に
人間の避けられない摂理を浮かび上がらせていた。


つまり
食べることの先には
からだから出てゆくこと、
からだが空になることがある。


若い女がそうであるように
からだがそうであるように
別れた男や女や食べたものの残した痕なんか
消えて忘れて空になってしまえばいいのに。


……なんて
ぼくの勝手きわまる解釈で申し訳ないですが、
この号に裏のテーマがあるとしたら
そこを一番するどく突いているとも感じた。


ちなみに
「うたとことば。」は
その本の持ちやすい軽さや
1ページあたりの文章の量からして、
風呂読みではなくて
実はトイレで読むのにとても適している。
ぼくにとっては、ですけど。


「うた」と「ことば」と「ごはん」が大切、
ならば、食べることの次に来る“出す”ものも大切。
そんなバカな特集を希望するわけではありませんけど。


ハイファイ・レコード・ストアの店頭、HPでも販売中。
利益誘導、Yeah。