mrbq

なにかあり/とくになし

推薦図書

友人からの推薦図書あり。
シメキリに追われたり
何かに逃避したいときは
そういう誘い文句に乗るに限る。


浦田賢一ROLL〜博多のぼせバンドマングラフィティ」(集英社)。


サンハウスのドラマーのひとが書いたと教わった気がして
へえ、じゃあ復活ツアー中の
今がちょうどタイミングと思ったのだが、
実際に手にしてみると
確かにサンハウスのドラマーだった人物だが
在籍したのはレコード・デビュー以前の話。
今回のツアーにも参加していないし、
サンハウス時代の話も
全体のごくごくわずかなものでしかない。


じゃあいったい何の話なんだと読み始めたが
そんな心配は杞憂だった。


この本は
一緒に過ごしたバンドの内輪をばらすような
そんなせせこましさやさもしさとは無縁。


1960年代から70年代にかけての
福岡のロック・シーンを描いた本という体裁にはなっているけれど
つぶさな記録を追うものでもない。


浦田さんの吐いた息、
吸ったホコリ(誇り)、
流した血と汗と涙を
博多ロッカーの草分けとして
博多流ビートニク文体で記した
一代記ということになるだろうか。


山善THE MODS森山達也との度を超した交流、
おくさまの父親とのガチンコ対決の描写など、
エピソードもいちいち痛快だが、
とにかくびしびしと心に響くのは
間違いなく自筆で書かれた文章そのものだ。


目から入って音になり
博多アクセントやリズムが
頭のなかで弾けては散る
玄界灘の荒波がごとき
愛すべき乱調文。


だが乱調だとしても
その球はすべてストレートの豪速球。


ゴーストライターには
こんなにイイ文章はなかなか書けない。


たとえば
150という数字を表現するために
一五十と漢字を並べる。
一が五になり十になるという
止まらない止められない感情の放出がある。


「無能」は「才能」に違いない、という名言もある。


こういう考えを持つ人間が
バックボーンのひとりにいたからこそ
あれだけ豊かにシーンが育ったということの
ありがたみを考えさせられもした。


文章からは
がんこでしぶとい人間だと察するが
たぶんきっとそんなに難しい人間ではない。
愛するひとを愛したいという感情と感覚を持ち、
自分の仕事をすることで愛されたい認められたいと願う
そういうありふれたまっとうさが
おそろしくごちゃまぜの人生を貫いている。
だからぼくみたいなぼんくらにも
じわっと沁みるのだ。


次の推薦図書は
沼田純「魚屋レジェンドスーパーバイトJ」というメールが
下北沢から届いた。


以下推薦文。


「「小規模」「おのぼり」「ピコ少」「猫背」「下手漫」クラスの
 作品になるかも知れません!」


え! マジですか!
この「 」内の漫画が全部わかってしまうひとは必読ってことっすか。


週刊少年チャンピオン」連載で
まだコミックは出ていない。
立ち読みしろってことたいね。


推薦図書どしどし教えてください。