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なにかあり/とくになし

「おんさのひびき」読書後

シメキリの波がひとまず去ったので
漫画を読もう。


伊図透「おんさのひびき」1、2巻(アクションコミックス)。


前作「ミツバチのキス」のつづきは出ないのかと思っていたら
なんと連載はすでに終了(中断扱いなのかもしれないが)。


ひとの心が読める女主人公の放浪という点で
「七瀬ふたたび」みたいな展開を迎えることを
よしとしたくなかったのだろうか。


ぼくは主人公の彼女に
かなり肩入れしていたのに。


だから
新作「おんさのひびき」は
好きな女の子にすかされたような
複雑な気分で読み始めた。


どれくらいの世代の話なのか
小学校の裏でうさぎが飼われていて
給食に出るシチューがごちそうだった時代の
少年たちの物語。


ストーリーの展開や人物設定もふくめ
読む者の胸がくるしくなる場所を
ちくちくと画と描写で攻めてくる
伊図透らしさは変わらない。


こういう少年時代をテーマにするにあたっては
伊図透の持つ洞察力を使いすぎると
ストーリーを痛々しくしすぎてしまうかもしれないけど、
1、2巻と読み進めていくうちに
作者自身の作品との折り合いの付け方が飲み込めてくる。


じくじくと
悲劇を描きたいわけじゃないんだ。
むしろ
ゴムを引っ張って引っ張って引っ張って
ぱちんと遠い先に跳ね飛ばすように
最後は見事に
悲劇を葬り去りたいんじゃないか。


そう言えば
「ミツバチのキス」だって
最後(今のところ)は
すごく救われた気分になった。


この話、
まだ連載は続いているようなので
その先をとりあえず待つ。


それにしても
伊図透、
いったいどういう人物なんだろう。


ねむようこ「ペンとチョコレート」2巻についても
書こうと思ったけど
それはまたあとで。