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なにかあり/とくになし

雨の日と月曜日は

朝、
国際電話を一本。


東京は雨だよと言ったら
先方もちょっとしとしとしているとの答え。


「でも雨の日は
 いいレコードが買えるんじゃないかな」


そうだそうだ。
それは彼の口ぐせのひとつで
それが言えるときは
わりと調子がいいときなんだ。


「雨の日と月曜日は」なんて曲もあるけれど。


そんなわけで
雨のなか外へ。


レコード屋ではなく
本屋に用事があって立ち寄ったら
小田ひで次おはようひで次くん!」(BEAM COMIX)の2巻が
平積みになっていた。


あれ?
これ確か明日の発売じゃなかったっけ?
同日発売のはずの森薫乙嫁語り」の2巻は
まだこの店では見かけない。


まあいいや。
時間もないし。
とりあえずぼくは
「おはようひで次くん!」を一日早く手に入れた。
これもちょっとした雨の日の幸運だろうよ。


2巻でめでたく完結となる
40代の迷える漫画家物語。
サブタイトルの「平成漫画家実存物語」は
あまり好きじゃないけれど
理詰めで妄想し
理詰めで苦悩し
それでも生活だけは何故かなしくずしになることを
“実存”と呼んでもいいのなら
あながち間違ったキャッチではないのだ。


小田さんの岩手にある実家が
家業である本屋をたたむにあたって
友人の漫画家たちとサイン会をひらくエピソードが
たまらなくいとおしい。


そうそうたる顔ぶれ。
しかし一般的には「?」なオールスターズ。


ぼくは漫画家ではないけれど、
ここで彼らが体験した
ささやかなしあわせの価値はよくわかる。
何かを書いたりつくったりしてきた人生で
これほどぐっとくるものはないだろうから。


海の向こうの友人に。


雨の日と月曜日、
レコードじゃないけど
やっぱりいいものが買えたよ。