小さくなったのは

こないだ晩飯どきにサッカーのW杯を見ていたら
ツマがぽろっと言った。

「人間、小さくないか？」

一瞬ドキッとした。
ぼくの器量を指して糾弾しているかと思った。

ツマという人種は
ときどき人間の本質を射抜くようなことを平気で言う。

でもこの場合はちがった。

画面に映るサッカー選手たちが
小さくてなにがなんだかよくわからないよという話なのだった。

うちのテレビは
いまだにばりばりのアナログで
画面サイズも確か20数インチ。

まあひとなみなサイズだと思うのだが、
ツマにそう言われて
あらためて画面を見ると
なるほど選手の映し方が小さくなった気がする。

熱心なサッカー・ファンじゃないので
比較する記憶がいい加減なのだが
俯瞰の画面は明らかに増えた気がする。

「あれだよ、
　デジタルのテレビで
　やたらでかい画面でみんな見るようになったからだよ」

ふうむ。
そう言われればそうかもしらんね。

そのとき
あっと気がついた。

小さくなったのは選手だけじゃない！
画面の隅で
点数や試合時間を表示するデザインバー、
あれだ！
あいつが、すごく小さくなってる！

たぶん、
大画面対応で小さくなってしまったんだろうが、
小さいテレビでそれを見ると
もう何が何だかわからない。

そういうことですか。

小さくなったのは、あいつ。
人間じゃない。
もちろん、ぼくの器量でもなく。

で、
うちのテレビは
いったいいつ買い替えるのかしら……
なんて話はもうちょっと棚上げってことで、
そこはなかなか人間が小さい。