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なにかあり/とくになし

霊でつながる

話は一日戻って。


キセル「凪」ツアーの打ち上げで
手塚治虫の何を読んだらいいかという質問に
やけっぱちのマリア」と即答している自分がいた。


「空気の底」も推薦した気がするけど
それは話の相手が
奇子」や「きりひと讃歌」を読んでいると言ったから。


「やけっぱちのマリア」をはじめて読んだのは
親戚の家だっただろうか。
とにかくドキドキして仕方なかった。


今は手元にはない。
どうして急に
「やけっぱちのマリア」と言いたくなったんだろう。
自分でもわからない理由があるのか。
買い直すならチャンピオン・コミックス版にしよう。


ダッチワイフに霊的なものが乗り移って
人間になってしまうお話。


元祖「空気人形」みたいな。


ちなみにその日、
カバンのなかにあったのも霊つながりで、
むらかわみちお虚数霊」1巻(メディアファクトリー)。


ちょっと前から気になっていた近未来骨董SF。


骨董にまつわる手放した持ち主の思いが
実はその品物に残存していて
特殊な器具を使用することにより数値として測定可能となった。
そして
その数値の高さや性格が商品としての価値を
あらたに定めていく時代がきたという設定が秀逸。


その数値を解き明かしたのが虚数の存在であるという説明は
リアリティとしてはなんとなく不十分な気もするが
理系からほど遠いぼくの頭にはちょうどいいのかもしれない。


しかし
もしそんな器具が実現したら
ぼくの働いているレコード屋なんて
手放した人間の思いだらけで埋め尽くされて
とんでもないことになっているだろう。


と思ったら
発売されたばかりの2巻では
レコードがテーマの話があるという。


それから
この漫画には
アーリーテイク集とも言うべき幻の第1巻が存在し
2004年に発行されている。


雑誌の休刊とともに、
連載も未完、
単行本も1巻発売のみで打ち止め、
むらかわさんの漫画家としての活動も
中断となっていたところを、
満を持して
未完の作品の続きとして
去年復活連載がはじまり、
ふたたび時計の針が動き出したとのことだった。


なんだか
この本自体に虚数霊がついているような話ではある。


そして今夜は高円寺コネクシオンでDJでした。
ぼくのレコードにくっついている虚数霊が浮かばれるよう
人一倍大きな音でかけました。
ご迷惑おかけしました。
お招きいただきありがとうございました。