読んでますよ、アザゼルさん。
渋谷駅近くの早売りスタンドで
「イブニング」を購入。
DVD付コミック発売ということで
表紙&巻頭は「よんでますよ、アザゼルさん。」。
表紙はカラフルでそれなりにかわいいが
巻頭から掲載されたお話の方は
相変わらずひどい。
ひどいけどおもしろい。
「係長島なんたら」が今号は掲載されていないので
よけいに風通しがよろしいと思う。
とっとと昇進していなくなれ、係長。
「アザゼルさん」に思うのは
下ねたやあさましくいやしい感情の数々を描きながら
ギャグ漫画としては古典的な路線を踏襲していることの安定感。
“先が読めない”というおもしろさを
スジのないナンセンスさに求めるのではなく
きちんとストーリーの展開として落とし込んでいる確かさ。
そして最終的には
そんなすぐれた漫画を読んでいるという実感を台無しにする
ひどいギャグやツッコミの数々。
安定と台無しが
これほどうまい具合に
なおかつすごい落差&急ピッチで
サイクルを描いている漫画も
最近あんまりないじゃないかと心から思う。
ところで
今はカバンの中には2冊「アザゼル」が入っている。
ひとつは「よんでますよ、アザゼルさん。」の5巻(通常版)。
そしてもうひとつは
アイザック・アシモフ著「小悪魔アザゼル18の物語」(新潮文庫)。
理知的なSF作家として知られるアシモフが
80年代はじめに手がけた奇妙な味わいの連作短篇。
設定などいろいろな相違はあるが、
身の丈に応じた能力しか持ち合わせていない
身長2センチの悪魔アザゼルが登場するこの作品が
おそらく久保保久の描く漫画「アザゼルさん」の
発想の下敷きにあるのは間違いないと思う。
小気味よく皮肉が利いていて
人間描写も容赦なくて
ぼくは小説の方も好きだ。
当然ながら
下ねたのほうは
アシモフさんはずいぶんと控え目だけど。
今ならamazonで1円から。
こっちの「アザゼル」もおすすめです。
読んでますよ、アザゼルさん。