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なにかあり/とくになし

あの娘は傘どろぼう

朝から雨のなか
かかりつけの病院に。


何とか値がとか
何とか値がとか
いろいろと注意されるが
端的に集約すると
このきびしいひとことに尽きる。


やせろ。


もっとやさしい口調で再現すると
こんな感じ。


あなたは肥満というほどではないけれど
もうこれ以上太ってはいけません。
減量につとめて
来年の春にもう一度いらっしゃい。


田辺聖子の短篇で
物書きは忙しくなると太るのよと
登場人物に言わせている話があったので
太ることはむしろぼくにとってはいいことなんです。
そう言い返したいところだが
そんなことはしません。


あーつくづく
忙しくなる前に
太るほうを先取りしてしまったんだなー。


処方箋を出してもらい
すごすごと薬局へ。


薬をもらって
外に出ると傘がない。


え?
とられた?
ぼくの先客はみな
かなりのおばあさんばかりだったけど……。


怒りよりも
やるせない気分になる。


心中複雑なまま
新しい傘を買い、
取り置いてもらったレコードを受け取るために
西新宿のバーンホームズに向かった。