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なにかあり/とくになし

感激! 偉大なるライノ! その7

mrbq2010-10-28

5月31日の夕方、
早めに買付を切り上げて
いつものようにウェストウッド通りへ。


ライノ復活祭が行われていた
通称“ライノ・ポップアップ・ストア”も最終日。
カズー・オーケストラの登場までは
まだ一時間ほどあった。


ぼくは期待に胸をふくらませているからいいのだが、
ドライバーのYさん、
そしてこのときの買付に動向していたハイファイのフジセを
このまま漫然と待たせておくのはさすがに申し訳ない気がしたので、
どうぞぼくを置いて時間を自由に使ってくださいと申し出ると、
ふたりはサンタモニカ・ピアー観光へと退散した。


そりゃそうだ。
ひとりぽつんと取り残されて何となく思う。
でもさびしくなんかない。
これから変態たちがぼくをもてなしてくれるぞ。


最終日
バーゲンセールはさらに過激になり
棚はがらんとしていたが、
LPレコードの残りがまたどこかから出てきたようだ。
こりゃいいぞと買付モードに一時突入。


レコードをまさぐっていると
黒いスーツに半ズボンという
異様ないでたちをした白髪の紳士が
店内を徘徊しはじめた。


バート・バカラックを若くしたような色男ふうでもあるのだが
スーツと半ズボンのとりあわせは
なんかおかしい、とてもおかしい。


レコードから顔を上げ
ゆっくりと歩く男をしばらく目で追ってみた。
やがて男が右に曲がったとき
スーツの背中に見えた、ありえない刺繍!


あーーーーーーーーーーーーーーーーー!


その背中には
銀文字で堂々と
「THE TEMPLE CITY KAZOO ORCHESTRA」と縫い付けてあったのだ。


現れた。
ついにやつらが現れた。


気がつくと
黒いスーツを着込んだ紳士は
ほかにも2、3名いた。
半ズボンは最初に見つけたバカラックもどきだけだが
どうやらカズー・オーケストラが集結をはじめたようだ。


状況から判断すると
半ズボン男は長ズボン男たちよりも
一歩進んだ変態ということになる。
つまり、
ライノ・レコードの重要人物である可能性が高い。


手にしていたレコードを
すっかり親しくなったレジのおねえさんに預けると
半ズボン男を追った。


すると男は
だれにアピールするでもなく
スーツのポケットから何かを取り出しかけては
それをポケットにまた戻すという
不審な行動を何度もくり返し始めたのだ。


賢明なる読者はもうお気づきだろう。


それは黄金に光る
世界でもっとも演奏が簡単で
耳障りな音色の楽器、
カズーだ。


ボケでもツッコミでもない
どこかにいるかもしれないし
どこにもいないかもしれない目撃者のために
彼はじらすようにカズーをちらつかせているのだ。


ああもう、なんてバカな!
あんたの目撃者はおれだよ!


こらえきれなくなって
男に背後から話しかけた。


「あなたはカズー・オーケストラのメンバーだったかたですか?」(つづく)


感激! 偉大なるライノ! その7 松永良平


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ほらー、
やっぱり誕生日までは終わらなかったじゃないか。


というわけで
42歳になりました。


いくつかうれしいメッセージもいただきました(自分の母親も含む)。
誕生日をライノの話でまたぐというのも
いいもんですな。


約束通り終わらなかったので
ひとつなぞなぞでも。


松永良平の誕生日に

遠くからいろんなひとたちが駆けつけてくれました。


ところがどういうわけか

みんなここまで来た方法が一緒でした。


さて

どうやってここへやってきたでしょうか?


[追記]
今回はシメキリとさせていただきました。
多数のご回答ありがとうございました!