感激！ 偉大なるライノ！ その9

ステージに現れたのは
一昔前のリア・ディゾンをちょっと太めにしたような美少女。

謎の美少女は
ギターを手にストゥールに腰掛け、
フォーキーなタッチで音を鳴らしだした。
さてその歌とは……。

「ママ、すごい彼氏が出来たわよ。
　わたしの新しい彼、なんとゾンビなの」

なんだそりゃー！

「彼女はリチャードの娘なんですよ」

一曲目が終わって拍手をしながら
ハロルドが教えてくれた。

「ステージの脇にいるのがリチャードです」

リチャード・ギアと上岡龍太郎を混ぜたような紳士が
ステージの脇で
ニコニコとしているのが見えた。
あのひとがライノ・レコードのオリジネイターなのか！

それにしてもカエルの子はカエル。
ライノの創設者の娘はコミック・シンガーになるなんて。
でもまあ、かわいいからいいか！
ほら、ここ見てみてよ。

もう一曲歌い終えて
彼女は家族（フース・ファミリー）への感謝を述べ、
出番を終えた。
見たところ
プロっぽさもないし
これから彼女はこの道へと一歩踏み出そうとしているところなのだろう。

ハロルドはぼくのほうを振り返った。

「わたしはもう行かなくちゃいけません。
　サインはそのあとでもいいですか？
　リチャードも紹介しますよ」

「行くってどこへ？」

「舞台ですよ。
　わたしはカズー・オーケストラのメンバーですから」

ああ、
ついにそのときが来た。

椅子が片付けられたステージには
黒いスーツを着た男たちが集いはじめていた。
いや、
よく見ると男たちだけじゃない。
歌い終えたハーリーもそのまま残っている。
しかも今気付いたけど彼女も黒いスーツを着ている。
さらにほかにも顔のよく似た女性がふたりほど壇上に登場した。

壇上に二列で並んだのは全部で7、8人ほどか。
昔テレビで見た「8時だよ！全員集合」の
合唱の時間に似た感じかしら。

やがてお茶の水博士みたいなヘアスタイルの男性が
すこし遅れて舞台に上がり、
客席を向いておじぎをした。

本気なのか
わざとなのか、
拍手はパラパラとまばらに起こった。

レディース・アンド・ジェントルメン！
テンプルシティ・カズー・オーケストラの
ショータイムがはじまります！（つづく）

感激！　偉大なるライノ！　その9　松永良平

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先日のなぞなぞの答えを発表します。

問題は
「松永良平の誕生日に
　遠くからいろんなひとたちが駆けつけてくれました。
　ところがどういうわけか
　みんなここまで来た方法が一緒でした。
　さて
　どうやってここへやってきたでしょうか？」
でした。

そして正解は……、

「バスで」（バスで→バースデー）

失礼しました！

でも正解率は比較的高めでした。
恒例の素晴らしい誤答は
もう一日引っ張って明日紹介します。