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なにかあり/とくになし

あなたと歩くの

年末の
日曜の
夕方の
渋谷は
ごった返していた。


先に進もうというこちらを押し返すような
人波をかきわけながらセンター街を進む。


やがて見えてきた
お目当ての兆楽(Y字路にあるラーメン屋)は、
街がどれだけひと混みであふれかえろうが
歳末だろうがクリスマスだろうが関係ないねと
いつものように空いていた。


こういう場所を
オアシスと言わずしてなんという。
ラーメンセット(ラーメン+半チャーハン)。
化学調味料多めのオアシス。


二階堂和美のワンマンライヴ@渋谷クラブクアトロ


前に神楽坂のシアター・イワトでも
ものすごいワンマン・ライヴを見た記憶があったが
調べてみたら
去年の2月だった。


そうですか。
そんなに経ってますか。
書いておくもんですね、ブログって。


あのときは
ひとりきりで
密閉された空間ならではの
衣擦れの音すら聞こえそうな緊張感に気圧されたものだが、
今日のニカさんは
最大5人編成のバンドを従えていた。


現在このメンバーで制作中だという
新作からの曲を中心にしたステージは
ものすごいものだった。


南洋あり
極北あり
土着あり
静寂あり
阿波踊りあり。


ぼくの視線の先にいる二階堂和美
今夜
青江三奈になり
バスガイドになり
野人になり
美人になり
願うひとになり
笑うひとになり
孤独になり
仲間になり
いろいろ忙しかったが
最終的に言えるのは
隅から隅まで二階堂和美そのものだったってことだ。


あられもないすっぴんからとっておきの化粧まで。
頭の上から足の先まで。
ゆりかごから墓場まで
全身が二階堂和美だったのだ。


新曲は
これまた自由度の高いものばかり。


山田洋次監督のお知り合いがもしこのなかにいたら
是非こんな曲が出来たと伝えてほしいとうたった
「女はつらいよ」には
じいんときた。
「説教節」には
身につまされて苦笑した。
「猫とアタシの門出のブルース」
「萌芽恋歌」では
クアトロにある一番濃い酒(できれば焼酎、だが置いてない)を
飲みたくなった。


「あなたと歩くの」の
今日のバンドでのヴァージョンも
すかっとするものだ。


ジェームス・ブラウン
おなじ曲を生涯何度でもレコーディングしたように
この曲は
いつどんな時代の二階堂和美でも
聴き続けていたい。


まあぼくに言われなくても
今夜この場所に居合わせたひとたちは
だれもが最初からそう決めているんだろうけど。