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なにかあり/とくになし

それはあれかね何かの予言かね

用事があって
晦日の街に出た。


行きがけに駅ビルの書店で
小田扉しょんぼり温泉」1巻(ジャンプ・コミックス)
青木幸子茶柱倶楽部」1巻(芳文社コミックス)
を買う。


ひとけのすくない電車のなかで
「しょんぼり温泉」を読んでいたら
不意に猛烈に泣きそうになってしまった。


ちょっと待った。
これは
さびれた温泉街を舞台にした群像ギャグで
泣くような漫画じゃないよ。


団地、商店街、盛りを過ぎた温泉街、
小田扉が好んでテーマにしているものは
時代の流れのなかで葬り去られてしまおうとしている
かつて憧れがあった場所なのだ。


それをいたずらに美化して
なつかしいねとなでまわすのではなく、
面と向かって「好きだ」とは絶対に言えないけど
なんとかしたいとじたばたしたり
おろおろしたりするひとびとの
人生のありようを
淡々と描いている。


舞台が温泉地であることが
かならずしも関係ないエピソードもあるけれど、
要所要所で
こまかいいちいちが
ほがらかで
ひりひりで
ナンセンスで、
やっぱりそれは愛おしいものなんだ。


日本における
ロバート・アルトマン
小田さん
あなたかもしれないよ。


ちょっと調べてみたら
おどろくべきことに
去年も大晦日
小田扉のコミック「前夜祭」を買っていた。


ぼくにとっての
晦日男でもあるのか、小田さんは。


なんにせよ
一年の最後に
いい漫画をつかむのはうれしい。
うれしすぎるから
茶柱倶楽部」は今日は手をつけない。
明日、
新年一発目の漫画として読むことにする。


所用を終えて
新宿駅で降りると
地下のコンコースを
若きグレートなレコード・ディガー、
馬場正道さんがキャスター付きのレコードバッグを引っさげて歩いていた。


「どこに行くの」と
声をかけようと思ったが
それにはちょっと遠かった。
馬場さんは知り合いらしきひとと話しながら改札のほうへ歩いて行った。


新宿では
ディスクユニオン
60年代インドネシアのビートガールバンド、
ダラ・プスピタと
ノートンからアルバム・デビューした
活きのいい現代ブルックリンのガールバンド、
ザ・ガールズ・アット・ドーンのLPを買う。


夕方
阿佐ヶ谷駅に着いたら
RAREはすでに閉店していた。
結局、今年のレコード締めは
2枚のガールバンドになった。


2010年最後の一日、
「しょんぼり温泉」に感じ入り
馬場正道さんを遠くで見かけ
2枚の割と極端なガールバンドを買った。


それはあれかね
何かの予言かね。
だとしたら
おもしろそうね。


さて
今年も一年
当ブログをご愛顧いただきありがとうございました。


例年通り
鷺宮八幡神社にて初詣をしてきたところです。
しんと冷えた
住宅街を歩いているうちに
日付は新年になりました。


おみくじをひき、
甘酒を飲み、
帰ってきて
そろそろ寝ようとしています。


みなさまも
よい年でありますように。


で!
去年もやったんですが、
今年も実は作ったんです。
年納めのCD。


もしこの年越しの奇特な時分に
このブログをわざわざ覗いてくださるかたがいらっしゃるのなら
そんなかたに
もれなくそのCDをプレゼントします。


シメキリは
これから眠るぼくが
1月1日に起きるその時間まで。


寝ているうちにいただいたご応募が
ぼくの初夢になります(去年もそうでした)。


それではみなさま
おやすみなさい。
いろいろあったけど
夜が明けたら
そこは新年。


【1月1日朝追記】
起きました!
思いがけず多数のご応募ありがとうございました!