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なにかあり/とくになし

わたしのお年玉

年末から
プリンターの調子がわるかった。


物持ちのいいツマのこと。
今まで使っていたプリンターは
そろそろ十年モノになるのだ。


ヘッドクリーニングを何度やっても
印刷が
もわっとかすんだミスト状になってしまう。


さすがにこれじゃあんまりだ。
昔、実家でよく見てた隣の県のUHFだ。


どうだね?
ここはひとつ。


「買おうよ! あたらしいのを!」


思い立ったらなんとやらで
それから十分もしないうちに身支度をして
初売りでにぎわう新宿へふたりで出かけた。


どこのメーカーのどれを買うとか
何も考えない。
現地で現物を見て
すこしだけ考えて
さくっと決めた。


支払いし
梱包してもらい
手に引っさげて
店の外に出た。


思い立ってから
一時間も経ってないか。


「今年は
 思い立ったらすぐやる年かもしれない」


ツマが言った。


そうかもしれない。
そうであってほしい。


そしてこれは
自分たちへの
お年玉と。


青木幸子茶柱倶楽部」
読み続けているけど
やっぱりおもしろい。


「誰だって美味しいものは分かりますよ」という
主人公の気安い褒め言葉に答えて
九州の頑固な和食屋
おやじさんが言った(に作者が言わせた)ひとこと。


「それはウソ。
 作る方はもちろん
 食べる方も好奇心がないと
 自分の好みから一歩も出んけん
 「誰だって美味しいものは分かる」は
 大嘘


ぎくっ。


こういうひとことで
この漫画、
大事にしたくなっちゃう。


このひとことを
今年ぼくがもらったお年玉にします。