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なにかあり/とくになし

何を今さらXTC

去年あたりから
急にXTC熱がじんわりとぶりかえしてきて、
結構手放してしまっていたレコードを
アナログで見かけたら買い戻すようにしている。


年明け
最初に阿佐ヶ谷RAREで買ったアルバムのなかにも
XTCの「ママー」が
しっかり入っている。


83年のアルバム「ママー」は
ぼくにとって
リアルタイムで体験したはじめてのXTCだった。
買ったのは84年になってからかもしれない。


リーダーであるアンディ・パートリッジの影に隠れるようにして
ベーシストのコリン・ムールディングが書いた
ワンダーランド」や
イン・ラヴィング・メモリー・オブ・ア・ネーム」が最高なのだが、
全体的には
かなり薄曇ったというか
いらいらとした感覚に覆われたアルバム。


おそらく
当時神経症的にまいっていた
パートリッジの傾向が前面に出てしまっているのだろう。


はっきり言えば
一番人気がないというか
彼らの代表作としては
もっとも採り上げられにくいアルバムだと思う。


力強い次作「ビッグ・エキスプレス」(84年)や
傑作として評価の高い「スカイラーキング」(86年)前夜として見ようにも
あんまりその兆しもない。


ところが
ひさびさに聴くと
このくすんだアルバムが実に身になじむ。


しっかりとした知識と
ポップ・センスを持ちながら、
何かにいらだっていて、
力の健全な使い方に関心がなく、
愛しかたがわからず
ひとに八つ当たりし、
饒舌そうに見えて
実は口ごもっている、みたいな。


どっかに似たようなバンドが
今もいるかも、みたいな。


そして
自分が好きなXTC
実はこのアルバムあたりまでなんじゃないかと
今ごろ気がついた。


今欲しいのは
彼らの初期のシングルB面を集めたアルバム
「ビーズ・ワックス」だ。


ところで
バンドにおけるソングライターとして
パートリッジにとっての絶妙な間の手を受け持っていた
ベーシストのコリン・ムールディングは
数年前に音楽活動から完全にリタイアし、
事実上バンドとしてのXTCは解散状態にあるのだそうだ。


「スカイラーキング」の制作で
パートリッジと正面衝突しながらアルバムをまとめた
プロデューサーのトッド・ラングレン
「コリン・ムールディングのソロならプロデュースしてみたい」と
確か発言していたはずだ。


かなわなかった夢、
それももう四半世紀も前の夢ですがな。


えりちん「描かない漫画家」1巻(ジェッツ・コミックス)買う。