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なにかあり/とくになし

映画を見に行くつもりだった一日

本当は
今日は映画を見に
銀座まで行くつもりだった。


シメキリの迫った(ちょっと過ぎたのもある)原稿を
さっさと仕上げて
夕方からの上映にあわせるつもりだった。


ああそれなのに
何をやってるのかしら?


年末に注文していた
ピーター・S・ビーグル「最後のユニコーン」が届いて
ああ、鏡明さんの訳は
やっぱり美しくて大胆でいいなあ
ときめくなあ
……と
読んでる場合じゃないでしょう。


いやもう
この第一章の
まだ本筋が動き出す前の
ユニコーンの何たるかを述べている最初の数ページ、
その文章からにじみでる
美しさと悲しさったらないのだ。


ラジオで朗読とかあったら
素敵すぎて
聴いたままとろけ死んでしまうかも。


そうですね。
朗読は
市川実和子さんがいいです(妄想)。


結局
原稿を書き終えたのは
とっぷり日も暮れてから。


書き終えた頭を空っぽにしたいのと
ツマに謝罪する意味も込めて
駅前までケーキを買いに出かけた。


冬の夜らしい
空気の乾いた夜だった。