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なにかあり/とくになし

富士山と月

東京は年末から天気のいい日が続いていて
空気がからからにかわいている。


そのせいか
正月休みが明けて
世間様の会社が始動しはじめても
まだ空気が澄んだままな気がする。


空も抜けるほど青いし、
朝の阿佐ヶ谷駅のホームからも
この時期にはもうかすんでしまうはずの
遠くの富士山がまだくっきりと見えるのだ。


お店に着くと、
ぼく宛に荷物が届いていた。


去年のうちに頼んでいて
ジョナサン・リッチマンの新作
オー・ムーン、クイーン・オブ・ナイト・オン・アース」の
アナログ盤だった。


アメリカ発売から半月ほど待たされたけど、
あの素晴らしいジャケットを
アナログのサイズで手にしてしまえばそんなことは忘れる。


待った甲斐があった。


ジョナサン自身による油彩が素晴らしいということもあるが
このサイズではじめてわかる
下地になっているカンヴァスの肌理の感じとか、
見開きジャケの内側に広がる
うるんだ目みたいな月の
大きさとか、幽玄さとか、
いろんなものが胸に迫る。


見事な満月だな。


現実の夜は
今週は三日月ウィーク。
今はそういう月齢なのだ。


三日月を見ると
夜がいたずらっぽく笑っているような気がする。