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なにかあり/とくになし

ラヴ・バズ

志村貴子
見かけない作品が書店に並んでいるのは知っていた。


よく見ると
ラヴ・バズ」というタイトルの下にちいさく
「新装版」と書いてある。


青い花」につづいて
放浪息子」までアニメ化されてしまう昨今、
これはもう
志村貴子バブルの真っ最中だから
掘り起こされてしまった旧作に違いない。


青い花」のときは
敷居の住人」が新装されて書店をにぎわせたように
今度はこれか。


オリジナルの「ラヴ・バズ」は
2003年から2005年にかけて
ヤングキング・コミックスで発売されていた、そうだ。


ちゃんとチェックしていなかったが、
なんと女子プロレスラーが主人公のお話だったのか。


タイトルといい
題材といい
あんまり彼女らしくない。


きっとプロレス好きでロック好きの
ろくでもない(?)編集者が押し付けた企画に違いない。


実はそんなもろもろの先入観が先立って
先週の時点で目にしていたにもかかわらず
しばらくスルーを続けていたのだ。


だが
病み上がりのからだは
彼女を(彼女の漫画を)求めた。


読んでみると
いささかとってつけたようなところはあるけれど
登場人物も
話のテンポも
志村貴子の世界の住人以外にはありえなかった。


得意とはいえない題材を描きながらも、
彼女は彼女で
自分の間合いを図って世界を作ることを
しっかり続けていたのだろう。


そう考えると
たまらなく愛おしくなる。


ゆっくり読もう。