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なにかあり/とくになし

アレグリア

連日連夜の
濃いライヴの影響が抜けきれず、
頭がぼっとする。


からだも
なんとなく疲れてる。


原稿を書くには
一度クールダウンするか
違う空気をいれないと無理だ。


取材も出かける用事もない一日はひさびさ。
今日は原稿の日と決めていた。


だが、
PCで開いたテキストページは
「さあ、お書きなさい! というか、はよ書け!」と
真っ白なまま
ぼくを待っている。


他人の目には見えない
シメキリ女中の一群も
部屋の隅でぼくをじっと見張っている。


しかし
どうにも無理な気がしたので
思いきって数時間昼寝した。


そして
目が覚めたあとに
はっと思い立って
買ったばかりの一枚のレコードを
ターンテーブルに乗せた。


ハウ・ゲルブの新作「アレグリアズ」。


スペインの現地ミュージシャンに惚れ込んだ本人が
アリゾナから何度もスペインに足を運び、
数年がかりで完成させたこのアルバム、
実に良いのだ。


20年近く前に
ジョナサン・リッチマンがスペインに惚れ込んで
全曲スペイン語のアルバムをつくったことがある。


魅せられかたは似ているが
当然アウトプットの顔つきは違う。
ハウ・ゲルブは
ジョナサンよりはくらい。
だがくらさに酔ってはいないし、
己に沈みこんでしまってはいない。
ぼくが思っていたよりずっとやさしさもある。


とりあえず
希望も絶望も
そのへんに撒いておけ、
あとでだれかが拾うから、みたいな
業の深い適当。


社会や時代をいったん遮断して
好き勝手にしてみるという無頼が
ほどよく身にも心にもしみてきた。


思いがけない傑作だと思う。


アートワークは
20世紀前半にスペインの画家によって描かれたもの。
ずるい。


さて
B面まで聴き終えた。


アレグリア”とは“歓喜”を意味するという。
今あるシメキリを全部乗り越えたら
また聴こう。


で、
これから何を書くのかね。