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なにかあり/とくになし

ぼくのハリウッド・ボウリング その5

ハリウッド・ボウルのYMOの演奏を
よかったとか
どうだったかとか
簡単に言うのは
意外と難しい。


アレンジが原曲に近いものが多かったとか、
小山田圭吾権藤知彦を加えた現在の編成は
まっとうなバンドらしさを醸し出す充実したものだとか、
ぼくだって
それくらいは感じた。


なによりも
やっぱり現在のYMO
主導権は坂本龍一にあるのだということを
否が応でも痛感させられた。


でも
そんなことは
実はどうでもよかった。


一曲目の
「コンピューター・ゲーム」がはじまった瞬間、
客席が総立ちになって
アメリカ人も日本人も
やいのやいのと踊りだす、
そういう景色を事前に想像していたぼくにとって、
実際に目の前にある光景は
いささかアテがはずれた感じでもあった。


さらに
「コンピューター・ゲーム」から
「ビハインド・ザ・マスク」へ。


日本の会場であれば
「うおおおおおお」と
期待と興奮に満ちあふれた
低いうめき声があがるであろう展開にも
ハリウッド・ボウルの客席は冷静だ。


1979年から2011年へ。


日本人であるぼくたちにとって
その時間の流れを経ての復活は感激を呼び起こすものだったが、
すくなく見積もっても
アメリカ人が半分はいたであろうここハリウッドでは
時のへだたりは
YMOへの記憶や執着を
もっとおぼろげなものにしてしまっていたのかもしれない。


もちろん
これはYMOの楽曲に現代性がないと
いう意味ではない。


つづく。