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なにかあり/とくになし

でっから、でっから

電車に乗るとき
最近どうしても気になることがある。


ホームに電車が今しも入ろうというとき
阿佐ヶ谷駅で流れるアナウンス。


「危ないでっから
 黄色い線までおさがりください」


と言ってるように聞こえてならない。


「でっから!」


ベタベタの関西弁が
ひそかに阿佐ヶ谷駅に浸食しているのか?


関西弁ホットスポットか?


シメキリで
ちょっと頭がおかしくなっているのでしょうか?


いいえ。


さそうあきらの新作「ミュジコフィリア」1巻(アクションコミックス)の
未知なる音楽を求める若者たちをテーマにした見事な着想と、
さそうさん自身の
京都精華大学マンガ学部での教鞭経験が活きた
とても生っぽい京都弁使いに
心の一画を占められてしまったからかも。


ぼくの単行本
「20世紀グレーテスト・ヒッツ」の
イラストを描いていただくために
一度だけ下北沢でお会いしたさそうさんは、
現代的に“古楽”を演奏する日本人グループ、
アントネッロのCD「ナトゥラーレ」のジャケットを
手掛けているのだと教えてくれた。


そのときの
そのグループを語るときの
さそうさんのはにかんだような
うれしそうな顔を覚えている。


「ミュジコフィリア」で鳴っている
未知の音楽は
さそうさんがこれまで描いてきた音楽漫画のどれよりも
一番さそうさんの好みに近いテーマでもあるような気がする。


はやくも
2巻が待ちきれない。


ちなみに
「でっから」とは
登場人物のだれひとりとして
言ってないけどね。


危ないでっから。
今どき関西人でも言わねえか!


でっから、でっから。