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なにかあり/とくになし

フリート・フォクシーズを、ここで、今日。その3

ホテルのフロントには
不在通知なんて見たことないと言われ、
郵便局には
通知の紙がないと問題外とあしらわれ、
あーあ、
つめたいアメリカよと嘆きながら
部屋に戻る。


すると
床に一通の封筒が差し込まれているじゃないか。


すぐに拾い上げ
送り先の住所を確認。
どうやらこれはチケットに間違いない。


なんだよー、
フロントー、
ひとこと言えよ!


とにもかくにも
多少の気苦労はあったものの
ぼくはフリート・フォクシーズのチケットを
ようやく手に入れた。


というか
「見た」と最初に書いているんだから
チケットが手に入ること自体は
最初からわかっていることなんだけど。


まあいい。
安心した。


あとは
明後日に迫った公演を待つだけ。


腹ごしらえしよう!
めいっぱい食おう!
そしてレコードを買おう!


この旅に同行していたツマを誘い、
とてもすっきりした気分で
雨のあがった街に出かけた。


2日後の夕方、
地下鉄の1番トレインに乗り
168丁目の駅で降りた。


そこから7ブロック北に上がったところに
会場のユナイテッド・パレスはある。
なにはともあれ
ここまで来た。


夕暮れの街に
「うーわー」という
エコーの利いたコーラスがこだまする夢を見た。


ワクワクしているんだろう、おれは。(つづく)