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なにかあり/とくになし

サブウェイ・ジョー!

ジョー・バターン、
昨年につづく二度目の来日公演は
やはり素晴らしいものだった!


去年は行くことができなくて
くやしい思いをした。
気がついたら終わっていたんだっけ?
買付と重なっていてぼくが日本にいなかったんだっけ?


去年行った友人によると
いまひとつ不慣れな日本人バンドを従えていても
本番をやりながら
バンドをどんどん鍛え上げていくジョーの指揮っぷりが
すごかったのだという。


今年のバンドは
ティンバレスのウィリー・ナガサキさんを中心に
とてもよくまとまっているとぼくには見えたが、
やはりジョーがバンドに体全体で指示を与えていくと
が然、演奏が引き立つ。


引き締まりながら盛り上げる。
セクシーな女性のシェップアップのような音楽を
ぐいぐいぐいぐいっと作り出してゆくんだ。


さながら
まるですべての音楽の応援団長のようにね。


自分の身を挺して
全体を鼓舞するその感動的なグルーヴには
ジャンルなんてもはやまるで関係ない。


終演後
サイン会の列の最後尾にくっついて居残っていたら
どさくさにまぎれて
出演者、スタッフ全員の記念写真撮影に
うしろのほうでまぎれこむことになった。


「待った待った待った!
 ここはひとつニューヨーク流でやろうぜ!」


ここでも
ジョーがみんなに指示を出す。


そのとき彼が言った”ニューヨーク流”とは
てのひらを上にして
右手を前に出すというもの。


え?
これが“ニューヨーク流”なの?
すこし腰をかがめれば
それはもう
「おひかえなすって」じゃないの?


でも
ホンモノがそう言うんだから
今日からこれが“ニューヨーク流”と覚えておく。


ジョー・バターンは
今もブロンクスに住んでいるのだと
サインを求めるぼくに言った。


マンハッタンの地下鉄の匂いと
かましい喧噪そのものを見事に音楽にした
「サブウェイ・ジョー」の世界を
彼は今も“じかに”生きているんだ!