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なにかあり/とくになし

いぶされて

青山景さんという漫画家が亡くなったというニュースを
今日12日に報道で知った。
自殺だった。


出かける途中に
電車のなかでそれを知り、
しばらくイヤな動悸がした。


ただの読者なのに。


「イブニング」で連載していた
よいこの黙示録」は未完ということになった。


もっとも
ひとつのフィクションが完結することになんか
意味なんか何も感じていなかったのかもしれないけど。


青山景の漫画を
ひとことで「好き」とは言えない。


子ども漫画と受け止められてもおかしくない
かわいらしい絵柄なのに
彼が描くのは
直視するのがツライくらいの
生傷だらけで
ちぎれたハートの物語を描く、
あるいは
描こうとしてしまうひとだったという印象がある。


古風で無頼な作家性という意味では
安達哲とか
宮本英樹にも通じる部分があるのかもしれないが、
青山景の作品には
彼らのような感情の爆発はあまりない。


むしろ青山景が扱おうとするのは
明快な答えの見えない感情であり
ちくちくと刺すような痛みであった。


甘酸っぱさ、とか
ほろ苦さ、とかいうような言葉で
ぼくらがきれいに覆い隠そうとする
青春や日々の痛みの正体を
描こうとしていたのかなと
思うことがある。


あの
まるっこい画で
自分を削りながら。


もっと先を読みたかったという思いと
その先につきあう重みから
不意に解放されてしまったというとまどい、
その両方が
ぼくをぶすぶすといぶした。