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なにかあり/とくになし

ニカさんをカバンにつっこんで

二階堂和美しゃべったり 書いたり」(編集室屋上)を
カバンにつっこんで
渋谷へ向かう。


昨日、
wwwでのライヴのあとで
この本にサインをもらっておけばよかった。


一度取材もしているし
何度もあいさつをしているのに
ぼくにとって
いまだにニカさんと話すのは
ちょっとキンチョウをする時間だ。


打ち上げで
乾杯の紙コップを合わせたときも
おつかれさまです程度のことぐらいで
肝心なことは何も言えなんだ。


なので
こうしてニカさんと言葉を交わしているような気分にしてくれる本を
読むことが出来るのはありがたい。


最新アルバム「にじみ」と
ツアー「にじみの旅」のために企画制作された本だが、
結果的には
近況や最新作への経過だけでなく、
シンガー・ソングライター二階堂和美
現在に至るまでの長い歩みを
本人の心境や言葉を軸に追った一冊になっている。


もっと言えば
一時は自分の歌を書く意欲を失い
わたしは歌うだけのひとでいいと思ってさえいた彼女が
ふたたび
自分の歌をつくることを決意するさまを
強さも弱さも気後れも決意もひっくるめて
外(インタビュー)と内(自分の文章)で記録した
ドキュメンタリーのような本だとも言えるだろう。


インタビューはどれもおもしろいが
とりわけ前田隆弘さんによる
二本にぐっと来た。


2009年という
ニカさんが「にじみ」の制作に向かう兆しが
見えてるのか見えてないのかくらいの時期に収録された
「死を考えることは、生を考えること」が
ずしんと沁みる。


ここから「にじみの旅」がはじまって
ここに還っていくようにも思える
ふりだしのような
あがりのような
言葉がある。


と、
さもすべてを読み通したようなことを書きながらも、
実を言うと
そこまで読んだところで
渋谷駅に着いてしまった。


ここから先は
ニカさん自身が筆を取った文章がつづくが
今日のところは
そこまでは読めなかった。


サインは
きちんと読み終えて
きちんと飲み込んだうえで
握手のようにして
もらうことにしよう。


そんなことを思いつつ
道玄坂をのぼって
O-West


在日ファンクのワンマンは
ソールドアウトの前評判に応えた
ハッピーなムードの二時間だった。


今日みたいな超満員を相手に
ハマケンらしいジタバタで
どんどん転がっていければ
もっとおもしろくなっていくかも。


頭をカラにしてくれる
いいライヴだったから、
ニカさんの本のつづきは
明日また読む。


在日ファンクにも敬意を。


明日は
「死を考えることは、生を考えること」から
もう一回読もう。