このふたり、仲がいいけど、つきあってません
シー&ヒムのクリスマス・アルバム
「ヴェリー・シー&ヒム・クリスマス」には興奮した。
全米ネットで主演ドラマも始まり
ついに今年の大リーグの
ワールド・シリーズでも国家を歌ってしまった
ズーイー・デシャネルは
まさに日本のファンにとっては
高嶺の花になってしまった感がある。
隣に住む
ちょっと気になるお姉さん(音楽好き)程度の親密さでは
もう超えられそうもない高い壁が
ショービズの世界にはびこる連中たちによって
着々と築かれつつあるのだ。
それでも
まだまだズーイーにとって音楽は
映画やテレビの世界に比べれば
自由区という意識があるんじゃないかな。
シー&ヒムをやめる気持ちは
さらさらないように見える。
所属のマージ・レコードにとってみれば
シー&ヒムのクリスマス・アルバムは
リスナーへのプレゼントだけではなく、
自分たちにも大きなヒットをもたらしてくれる
うれしいうれしいプレゼントになるはずだ。
ぼくも
アナログが出ることを知り、
いてもたってもいられなくなり
全米での発売日に購入した。
古きよきクリスマス・ソングに
NRBQの「クリスマス・ウィッシュ」まで。
選曲の妙は当然ある。
ツイッターにも書いたが
「クリスマス・ウィッシュ」には泣けた。
アルバム全体を
もっと艶やかに
オーケストラなんかでコーティングするという方法もあっただろうけど、
あえて
恋人たちも
恋人のいないひとたちも
家でついつい聴きたくなるような
インマイルーム的な歌と演奏のシンプルさに徹していることにも
ぼくは惹かれた。
そもそも
シー&ヒムというデュオ名義は
日本語に直訳すると「彼と彼女」で
つきあってる感が普通にまとわりついてしまうけど、
英語的に考えるとむしろ
別々の人生を生きている「あいつ」と「あのコ」という感じ。
実際
ズーイーには実生活でも
ベン・ギバード(デス・キャブ・フォー・キューティーの)っていう
イイ男のダンナがいるしね。
それに
「このふたり、仲がいいけど、つきあってません」
というニュアンスのほうが
恋愛にまつわるじれったさとか
プラトニックなせつなさが醸し出されるし、
それがまた
シー&ヒムという即席に近い成り立ちだったデュオを
現代の非モテな野郎どもを
刺激するツボにもなってんじゃないのかねえ、なんて思ったり。
友人のデザイナー、高瀬康一さんは
ぼくのまわりでも有数のズーイー好きなのだが、
彼は最近
ライターの水上徹さんと一緒に
武蔵小山のカフェ・アゲインで
DJ&トーク・イベント「グッド・オールド・ボーイズ」をはじめた。
毎回ゲストを迎えて
テーマに合わせた曲や
好きな曲をかけながらひとときを過ごすというもの。
もしかして
ズーイーが来日したときに
何かのミラクルか神様のいたずらで
そのイベントに出るようなことが起きちゃったら、
「グッド・オールド・ボーイズ&ア・ニュー・ガール」にしたらいいよと
思わずメールしてしまった。
「ニュー・ガール」とは
ズーイーの主演ではじまった
テレビドラマのタイトルなのだ。