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なにかあり/とくになし

ダメ絶対音感

ダメ絶対音感
あるいは
「絶対ダメ音感」
という言葉がある。


はじめて聞いたのは
ハイファイに来たデザイナーのお客さんが
事務所で働いている腐女子なスタッフから聞いた言葉として。


すでにその世界では何年か前から使われているらしい。


言葉の並びはどっちでもいいらしいが
ダメ絶対音感」のほうが一般的なのかな。


個人的には
「絶対ダメ音感」のほうが
「ダメ」が「絶対音感」の真ん中に割り込んで
言葉の持つ優越性を台無しにしてみせる感じがあって、
なんとなく好みだ。


要するに
この音感とは
アニメや吹替のついた映画を見ていて
「あ、この声は!」と
その声優さんが瞬時にわかってしまう能力のことを言う。


なぜ「ダメ」なのかというと
自分がそのスジの者だとばれてしまうことで
一般社会的なコミュニケーション能力を疑われる可能性が高いから(!)。


能力というか
修練というか
イントロ当てクイズとか
超早押しでクイズに答える高校生とかも
その部類に十分入ると思うし、
「このギターはあいつだな」みたいに
酒場でだべるロックおじさんも
十分にその範疇に当てはまる。


ただ
ダメだという自覚がないだけで。


レコードの買付を長年やっていると
ぼくも
ジャケットの上の数ミリとか
下手したら
普通のひとにはただの直線にしか見えない
ジャケットの上(天)だけで
そのレコードがどれなのかわかったりすることは少なくない。


ぼくに「ダメ絶対音感」を教えてくれたデザイナーさんは
即座に言った。


「あ、それ絶対ダメです。
 絶対モテません」


あと、
これはクレジットが出てるので
純粋な意味での「ダメ絶対音感」じゃないけど、
テレ朝の「報道ステーション」に
女性のニュース・ナレーターとして小山茉美さんが
ちょくちょく登場している。


彼女が深刻なニュースを淡々と語るのを聞くたびに
「アラレちゃんも、いろいろあったんじゃなあ」と
妙にしみじみしてしまう、
もちろんそれも「ダメ絶対」だろうね。