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なにかあり/とくになし

サケロックという変な集団 その3

名古屋で一夜明けて
12月18日、大阪BIG CAT。


大阪や名古屋とか
地方都市のライヴにときどき出かけて
「いいな」と思うことがある。


自転車で来てるお客さんが
結構多い!


街の広さで言えば
東京と変わらない距離感のはずなのに
自転車を選ぶ。
地下鉄のネットワークの違いとか
理由はさまざまなんだろうけど、
風を切って好きなライヴを見に行けるのなら
それはいいもんだろうなとぼくだって思う。


その感覚は
“地元”という範囲の拡大解釈にも結びつくものだし。


すいすいと雑踏を走り抜ける自転車は
人間が街同士の気分を運んでつなぐキャリアーとなって
もっと大きな”地元”を作り出す。


「新宿」「渋谷」「下北沢」「吉祥寺」とか
ステーションごとに分離してしまうのではなくてね。


ま、余談です!


さて
サケロック12月の東名阪ツアー、2日目。
場所は大阪BIG CAT。


これまた会場にあやうく入りきれないくらいの
超満員。
長方形のハコでは
だいたいうしろの隅には適度なスペースが空いたりするもんだけど
それもほとんどない感じがする。


曲順は
昨日とおなじ。
それでも
生き物のように曲は動いて
昨日とはまた違うテンションをつくりだす。


個人的には
昨日のほうが
気持ちをさぐりあう感じ。
今日のほうが
いくらかスムーズに音は流れているような気がする。


やっぱり実際に音を出し合ってみて
無意識のうちに張りつめていたものが
多少ラクになった部分があるんだろうか。


昨日の名古屋には
まだ実は解決のついていないのかもしれない
エモーショナルな何かが
流れていた(ような気がした)。


そういう何かがもたらす
ささいな音の揺れは
ツアー2日目
全3回の中日である今日に限って言えば
比較的落ち着いているのだろうか。


ところが終盤、
ひとりずつMCを回してごあいさつをするというシーンで
大地くんが
さびしい気持ちをぽろっともらしてしまった。


それは
タブーというわけではなかったけれど
あえてみんなは言わずにいた
とてもパーソナルな感情だった。


大地くんは
ドラム・ソロを見事に決める代わりに
本当の気持ちを言葉でインプロにして
この日のささやかなハイライトにしてしまった。


サケロックの「ぐうぜんのきろく」が
出来上がるさまを
またしてもぼくは目撃したのだ。


サケロックのライヴには
 楽器の長いソロはないけどさ、
 しゃべりは完全にアドリブだから
 あれがインプロみたいなもんだよね。
 うまくきまるときもあるけど
 収拾つかなずにぐだぐだな日もあって」


そんなことを
昨夜の打ち上げで話していたことを思い出した。


結局そこは変わらない。
サケロック
予想もできないゆくえも
そういうところから始まっている。
治せないけどいとおしい
どうしようもないわるいくせみたいな。


移動や昼の酒で疲れ果てていたのか
打ち上げでは
ぼくは最後は横になって眠ってしまった。


ホテルに帰る道すがら、
コンビニに寄るという角張社長と山岸聖太さんと別れた。


後日知った話だが
ふたりはそのコンビニで
買物をする全裸男に出くわしたんだそうだ。


それもまた
サケロックのもたしたぐうぜんなのかどうかは
わからんが。(26日の東京篇へとつづく)