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なにかあり/とくになし

三匹の猫と一匹のドラマー その2

わたしは太った三毛猫。
長毛種。
飼い主のドラマーも太ってる。
肉や魚が食べられないのに
お菓子が大好きなドラマーは
アメリカ人にしては背はひくいほうだけど
からだは順調に横に伸びた。
若いころはかわいげのある少年みたいだったらしい。
わたしが知っている彼は
カーリーヘアでひげだらけの
ちょっとしたモンスターみたいになってから。
でも
わたしはその奥から見える目がとてもつぶら
思いやりがあるまなざしだということを知っているよ。
それから
ドラマーはどういうわけか
わたしたちと言葉が通じると思っているらしく
猫の言葉をよく真似る。
残念ながらその言葉
わたしたちにはよくわからないんだ。
でも言葉はわからなくても
彼がわたしたちを心から愛してることはよくわかる。
それが“通じる”ってことなんだろう。
彼の猫語は
「こっちへおいで」も
「ごはんができたよ」も
「愛してるよ」も
いつでもひとつ覚えの「ミャーオ」だけどね。