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なにかあり/とくになし

新木場にて

朝から新木場へ。
新木場駅からまっすぐ伸びる道を進み
橋をわたるとSTUDIO COAST


朝11時の集合は
どの出演者よりも早いんじゃないかと思いきや
すでにメインの大ステージのほうから
リハの音が聞こえてくる。


音にさそわれてチラ見してみたら
なんとそれは
ハイラマズだった!


午前中に生ハイラマズとは
いいものを聴いた。
どうやらかなりみっちりリハしているらしく
一時間以上になりそうとのこと。


いやいやいや。


ふと我にかえって首を振る。
リハが必要なのは
おまえのほうだよ、おまえ(つまり、おれ)。


本日
ここで開催されるライヴ・イベント
De La FANTASIA 2012」には
全部で3つのステージが用意されていた。


そのうちの
一番小さいキャパである「ステージ3」を
昼間の数十分ほどお借りして
20世紀アメリカの生んだ数奇な音楽家レイモンド・スコットの魅力を伝える
ビデオ上映&トーク・イベント
「レイモンド・スコット・エキシビジョン」が行われる。


不思議なめぐりあわせもあって
そのイベントの出演者に
ぼくはなっていたのだった。


そもそもこの企画は
デザイナーの岡田崇さんがプロデューサーとなって
数年前から制作を進めてきたCD
「レイモンド・スコット・ソングブック」発売に向けて
この音楽家のことをすこしでも知ってもらおうと立案された。


そのCDに
ぼくはブックレット編集として関わっているのだった。


そして
その流れを受けて
岡田さんと一緒に
イベントにも出演することになってしまった。


ぼくに出来るのは
岡田さんのレイスコ話をたのしく聞いていただくための
質問役といったところ。


きびしい耳のリスナーたちが集うイベントだもの。
出たとこ勝負ではさすがにこわいので
ぼくにしては珍しくかなりきっちりと台本も用意して臨んだ。


30分のトークには足りないんじゃないかとふたりして危惧もしたけれど
終わってみたらちょっと時間が足りなかったくらい。


その場に居合わせたお客さんには熱心に見聞きしてもらえたみたいだし
他のステージとのかぶりで見られなかったというお客さんたちにも
「おもしろいものが出来るみたいだぞ」みたいな
なんとなくウワサしてもらえたように思えた。


緊張が解けてからの
その後のぼくのゆるみっぷりは
もう相当にへにゃへにゃだったけど。


振り返ると
自分たちがさっきまでしゃべっていたはずのステージは
もうその次に登場する
中村まりさんを待つお客さんで
すっかりと厚い人垣の向こうになっていた。


なにはともあれ
「レイモンド・スコット・ソングブック」
他のレイスコ関連音源と比べても
類を見ない作品になるはずなので
どうぞご期待ください。


その後は
星野源
cero
細野晴臣
テニスコーツ
〜ハイラマズ
と、つまみ食い。


ceroの演奏を
うしろの隅から
ハイラマズのショーン・オヘイガンが見つめているのを
磯部涼さんが発見して教えてくれた。


朝から念入りにリハをしていたハイラマズの演奏が、
だからと言って
決して一ミリの誤差も許さないような
綿密なものではなかったこともおもしろかった。


舞台こそ
これまでで一番大きいけれど
立ち振る舞いは
今まで何度か見た彼らのまま。


どこかぼさっとして普段着の男っぽい味わいのまま
とてもうつくしい音楽を紡ぎだす。
男の集う洋裁学校の放課後のような
海の男たちの陸の休暇のような
手に職を、心に業を持つ者たちによる牧歌。


やっぱり好きだなあ。


彼らが
朝っぱらから念入りにリハーサルをしていたのは
もちろんスケジュールの都合もあるけど
それ以外にも理由がある気がした。


たぶん
音楽を演奏するのが
ただただ好きすぎるから
やらずにいられないんだろうなあ。
そうだといいなあ。
ほんと
そう思うわ。