mrbq

なにかあり/とくになし

(((さらうんど)))ばかり聴いてたら その1

あれはTUCKERのレコ発パーティー・ライヴが
新代田のFEVERであった晩だったから
一月の暮れだった。


来るべきセカンド・アルバムを見据えた
野心的な選曲と演奏で
大きなワクワクをくれた4人編成でのcero
愛すべき乱調ダブで
深夜の脳天をやさしくまさぐってくれたNONCHEREEE(from福岡)。


そして主役のTUCKER。


かつては
息を止めて全力疾走しているような
ハイテンション&ハイスパートぶりで
自分でも25分が限界なんて言ってたのに。


それがどうよ。


エイジアンなエキゾチカをも吸収したバネと
決してゆるい余裕には変わらないソリッドなタメと
ワンマンバンドなんて言葉すら無用のアイデアとサワガシサと
もうやらないかもねなんて言葉を
軽く裏切る狂気のファイヤーと。


終盤にはceroもバックに加わって
最高にクレイジーな数十分だったし、
最高にクレイジーな一夜だった。


で、
その夜、
まだ真っ白なCDRコピー状態の
(((さらうんど)))の「(((さらうんど)))」をもらった。


そしてもう
そればっかり聴いているのだ。


土曜の夜にもらって
ろくに寝ないで出勤した日曜の朝、
「Surround Island」が
「夜のライン」が
「ジュジュ」が
「サマータイマー」が
「陽炎リディム」が
「Gauge Song」が
タイムリープでつかまえて」が
「冬の刹那」が
「Skyper」が
「R.E.C.O.R.D.」が
ぼくの「サンデーソングブック」になって
耳から脳をサラウンド(包囲)し
わけもなく早足になった。


エイティーズだよと
達郎だよと
歌うイルリメだよと
この心地よさの素を自分なりに問いつめることも出来るのだろうけど
今はそうするよりも
白い息を吐きながら
ちょっとのあいだ音に酔ってたいと思ってしまう。


Traks Boysのつくりだす
あの音のキラキラは
ただの電子の光沢じゃなく
青春の残滓みたいなのが
自分のうちがわから反射してでてきた
かがやきのように思えてしまう。


そんなのすべて錯覚だよと
言われたって別にかまわん。


それぐらいが音楽にできることだし
それはいい音楽にしかできんことだ。


季節柄もあって
冬の刹那」を何度も何度もリピートしがちだけど
ほかの曲も本当に素敵だ。


佐野元春「ジュジュ」カヴァーが
ちゃんとCDになったのもうれしいし。


そういえば
「サマータイマー」ってさ
あのとき聴いたろ、おれ、って
記憶は1月の頭にフラッシュバックする。(つづく)