喜劇 とんかつ一代
夕方5時から
ラピュタ阿佐ヶ谷で「喜劇 とんかつ一代」。
入手可能なソフトがないし(ラピュタでは前にも上映されているが)
お正月気分にも似合ってるので混むだろうとの予想で
早めに整理券を取りに出向いたが
案の定、一時間近く前なのにすでに結構大きな整理番号だった。
ロビーに当時のポスターと
とんかつのレプリカが飾られる粋な演出。
思わず撮影。
映画も満喫。
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●twitter (id: emuaarubeeque)より
ラピュタ阿佐ヶ谷での「喜劇 とんかつ一代」明日が最終日。今日も補助席がたくさん出るほどの盛況だったので、もし行かれるかたはお早めに。
「喜劇 とんかつ一代」は1963年の作品で、東京オリンピックの前年。世間はさぞや浮かれていただろうに、監督の川島雄三は、五輪マークのエプロンをちらっと見せるだけ。しかもそのエプロンは薄汚れている。東京の街の情緒が壊されてゆくのを、つまんねえなと見ていたのかなと思ったり。
しかも「喜劇 とんかつ一代」を撮った63年に川島雄三は急逝する。市川崑の端正な記録映画「東京オリンピック」とは別に、川島雄三の撮った、もうひとつのわさわさとわいざつな「東京オリンピック」が存在していたら後世はどうだったか。オリンピックを「スパイナル・タップ」にするような精神。
ともあれ、新年からいい映画見ました。「喜劇 とんかつ一代」ぜひ。
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「喜劇 とんかつ一代」の主題歌といえば、
森繁久彌の歌う「とんかつの唄」。
去年、
鈴木惣一朗+直枝政広のユニット、ソギー・チェリオスのアルバム「1959」で
細野晴臣、鈴木慶一、両御大を迎えてカヴァーされ
話題を呼んだ。
森繁版は大全集的なベスト・アルバムにも入っているようだが
当時、日本コロムビアから7インチ・シングルも発売されている(欲しい)。
なんならソギー・チェリオス版とのカップリングで
復刻するなんてどうだろうか。
そういえば
去年、ソギー・チェリオスのふたりに取材したとき
「とんかつの唄」について
こんなやりとりがあった。
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鈴木 はっぴいえんどとはちみつぱいがなかったら二人とも音楽をやってなかったかもしれないし、せっかくこういうアルバムを作ったのなら、楽しいお祭りみたいなのがちょっとあってもいいかなと思った。僕が細野さん、直枝くんが慶一さんに話を持ちかけてみたら、二人とも「いいよ」って気楽に言ってくれたんだよね。それってさ、直枝くんが最初に、「一緒に音楽作らない?」って僕に言ってくれた気楽さと一緒というか、洒脱さと言ってもいい。そんなことぐらいあってもいいんじゃないかなと思ったことが現実になった。(後略)
直枝 遊びをやめないってことだよね。
──“売れる”ということがストレートな目標にならない時代だからこそ、本気で“遊ぶ”ということを真剣に考えなきゃいけない時代なんだと思うんです。
鈴木 (前略)すごく真剣にくだらないことをやるのもポップ・ミュージックの旨味だったりするわけじゃん。その遊んでる様子が周りから見て清いかどうかだよね。
取材・文 松永良平
(「レコード・コレクターズ」2013年9月号より抜粋し、一部修正しました。)
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「喜劇 とんかつ一代」を見て、
「とんかつの唄」を口ずさみ、
ソギー・チェリオスの取材のくだりの
「その遊びが清いかどうか」を反芻しながら、
ぼくの頭は
もうひとり別のひとのことを連想しはじめていた。
ご冥福を祈るかわりにこの言葉を。
レッツ・オンド・アゲイン。