When you were young.
2日の話だが、弟夫婦が年始のあいさつにやってきた。
今年の春がくると2歳になる甥っ子が、トタトタ歩くし、カタコトを話すようになっていて楽しい。「パパ」やら「ママ」やら「メンメン(麺類を食べさせろ)」やら「ニャーニャ(猫に会わせろ)」など。全速力で駆け込んできて抱擁、そしてチューをする(男女は問わない)。チューしたあとの笑顔がよい。
こんなにもみんなの笑顔に囲まれていたんだという記憶を、人間がすこしでも覚えていられたらいいのに。この愛ある時間が刻まれていないなんて、ちょっともったいないよ。そんな気もする。
前にも書いたことがあるかもしれない。自分の記憶ではないけど、2歳のころ、父親が吸いかけて置いていたタバコを食べてしまったことがある。うまそうに吸っていたので、きっとおいしいものだと勘違いしたのだろう。
食べたとわかってからはもうてんやわんやの大騒ぎ。逆さ吊りにしてなんとか吐き出させようとしたりしたらしいが、最終的には病院のお世話になった。なんとか今も生きてるので、後遺症もなかったということだろう。
ただし、父はそれ以来、タバコをやめた。それまでチェーン・スモーカーだったそうだが、その日そのとき以来、今に至るまで45年以上一本もタバコを吸っていない。
ぼくは物心つくまでタバコを吸わない父しか知らなかったし、もともと吸わない人なんだとずっと思っていた。
父にタバコをやめさせてしまったことを覚えていなくて申し訳ないとも思うが、覚えていないことが逆に父を楽にさせてもいたんだろうなという気もしている。
だから、子どもはちいさいころのことは、やっぱりそんなに覚えていなくてもいい、のかもしれない。