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なにかあり/とくになし

アズベリー・パークからの挨拶

昨日から今日にかけて
いただきものが多い。


関西限定風味の「コメッコ
ピンク色の金平糖
オーストラリア名産(?)のコアラ・クッキー
クリスタル・サウンズ「懐メロ歌謡 ベスト20」LP
熊本ウッドストックのレコード袋。


「懐メロ歌謡」のレコードは
眼鏡屋さんではたらくHくんからのプレゼント。


これは裏ジャケに注目。


以前にcolumbia*readymadeのHP上で行われた
「私の好きなレコード(CD)ジャケット」というアンケートで
パーシー・フェイス「不滅の古賀メロディー」を
挙げさせていただいた。


そのとき
このジャケに描かれた美女には
髪をアップにまとめた姿と
下におろした姿の2種類があると書いた。


その後、ある方のご厚意で
後者も入手することが出来たのだが、
今日いただいた「懐メロ歌謡」には驚かされた。


なんとその美女の
まだ見ぬ3つ目のポートレートが描かれていたのだ!


美しいストレートのロングヘアで
紺色の絣の着物を着て
暖炉のある洋風の部屋に
彼女は腰をしなっとおろしている。


パーシー・フェイスのジャケでは背景が無かったから、
こうして絵の中の部屋にいる彼女を見ると
架空とは言え、
一緒に息をしている気分になる。


ありがとうございます。


斎藤文彦「みんなのプロレス」(ミシマ社)を
引き続き読んでいる。


亡くなった外人レスラーたちについて書かれた文章をまとめた
「トリビュート」という章にさしかかると
少年時代に見知った名前が多く
心の動揺を隠しきれない。


キャリアの絶頂で一家心中という衝撃的な死に方をした
クリス・ベンワー(日本では“クリス・ベノワ”と紹介)に割かれたページ数の多さにも
胸が詰まる。


アメリカには“一家心中”という概念がないため
クリスは“家族殺人→自殺”という
二重殺人の犯罪者にされてしまい、
事件直後に発表された彼の所属団体WWEからの公式な弔辞もふくめ、
彼の偉業をたたえるすべての事項が
アメリカン・プロレス史から削除された。


謎の多い事件の真相を見つめながら
斎藤さんはクリス・ベンワーというもの言わぬ死人が
本気で生きていたという事実を
本気で書き連ねている。


もっと胸をえぐられたのは
クラッシャー・バンバン・ビガロへの追悼文だ。


スキンヘッドに彫った炎のタトゥーと
巨体でありながら器用で
抜群のレスリング・センスの持ち主だったビガロは、
ぼくの記憶の中では
新日本プロレスの常連のひとり。


彼の末路が
決して輝かしいものではなく、
むしろ矛盾とトラブルとやるせなさに満ちていたことを
斎藤さんは容赦なく描き出すが、
その描写には突き放したとことろがなく、
「馬鹿なやつだなあ」という部分も含めて
ビガロが愛されていたことがはっきりと伝わるものになっている。


ビガロの生まれ育った町が
ニュージャージー州のアズベリー・パークだということと、
晩年の必殺技に
「アズベリー・パークからの挨拶」という名前をつけていたことを
ぼくは本書で初めて知った。


アズベリー・パークは
ブルース・スプリングスティーンの出身地だ。


「みんなのプロレス」が
音楽の世界にもあればいいと
やっぱり今日もぼくは思った。