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なにかあり/とくになし

ジェフ・ブリッジズのこと

日本公開よりもすこし早く
コーエン兄弟の新作「トゥルー・グリット」を見た。


小林信彦さんも褒めていた
蒼井優に似た主役の女の子も確かによかったけど、
片目で酔いどれの保安官を演じた
ジェフ・ブリッジズが
なんともいえぬ良い存在感。


ちょっと前に友人とした会話で
「自分の好きな映画には
 だいたいジェフ・ブリッジズが出ている」と
彼が言っていたのを思い出した。


ジェフ・ブリッジズって
確かに
ぼくにとってもそういう役者なのだ。


コーエン兄弟との絡みで言うと
ビッグ・リボウスキ」をすぐに思い出す。
テリー・ギリアムの「フィッシャー・キング」だって
そうだった。
個人的な好みで言うと
賞をたくさんもらった「クレイジーハート」にしても
徹底的にダメな(憎めない)男を演じるときの彼に
すごく惹かれる。


まあ
だれだってそうだろう。


しゅっと引き締まって精悍な顔つきのときより
だらしなくゆるんで
落ちぶれた無精ひげの彼が好き。


零落して
くじけているんだが
なにかあると思わせる。
その“なにか”を
ぎりぎりのところまで“感じさせない”という点において
ジェフ・ブリッジズはすぐれた役者なんだと思う。


トゥルー・グリット」の保安官役には
もちろん69年に映画化されたとき(「勇気ある追跡」)の
ジョン・ウェインが演じた雛形があるのだが、
見比べてはいないけど、
ジェフ・ブリッジズを起用したことで
きっとダメ男成分が
2割増しくらいにはなっているんじゃないかと
思わせる感じがあるのだ。


そんなことを考えていたら
フィッシャー・キング」のことを
何年かぶりに思い出した。


ニルソンが歌う「ハウ・アバウト・ユー」が
最後に流れる映画だった。