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なにかあり/とくになし

夜のジェットコースター

後楽園遊園地の隣にあるドームに行った。


今は後楽園遊園地ではなく
東京ドームシティと言うらしい。


ものすごい人出で
人間渋滞の列がなかなか進まない中、
遊園地では
おそろしい高低差と回転、
スピードとねじれをともなうジェットコースターが
夜空を駆け抜けていた。


乗りたいな……。


こどものころから
ジェットコースター好き。


正直言って、
今はおとななのだから、
金はある。


たとえば真夜中のバーにさくっとしけこんで
「マスター、水割一杯、うぃ〜」とか言うくらいなら(言わないが)、
真昼の遊園地に駆け込んで
「ジェットコースター、大人一枚」と言いたい。


だがなかなかそうしないのは
時間がないということもあるけれど、
一緒にコースター地獄へ嬉々として向かう
いけにえがいないからだろう。


ひとり酒をしない男は
ひとりコースターも苦手なのかもしれない。


ツマも弟も
ジェットコースターは大の苦手であった。


どこかで書いたことがあるかもしれないが、
以前、レコード買付の途中で時間が中途半端に余ってしまい、
フロリダのディズニーワールドに行ったことがある。


そのとき、
同行の大江田さん(ジェットコースター嫌い)を
「ディズニーのジェットコースターなんて
 時速30キロぐらいの甘ちゃんですよ、たぶん」と誘って
意気揚々と乗り込んだ。


それは(結果的に)大嘘だった。


エアロスミスがプロデュースした
「ロックンロール・コースター」というそのアトラクションは
発車から3秒で時速90キロに達する代物だったのだ。


大江田さんが
無事で本当に良かったと、
今でもあの日のことを思い出す。


ドームの渋滞から離れて
コースターがの発車から終点までを眺めながら、
思わず指をくわえそうになって、
ハッとしてやめた。


そして
おとなぶって
行先を急いだ。


いつか乗ってやるから
待ってろ。