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なにかあり/とくになし

前園直樹グループを見に行けなかった

前園直樹グループを見に行くつもりだった。


ハイファイを中抜けする段取りをして
池上本門寺までのアクセスも調べた。
乗り換えは五反田で。


そんなとき
一通のメールが大江田さんより届く。


「そのライヴ、昨日だったんじゃないのかなあ」


ガビチョン。
その場で突っ伏す。


「前園直樹グループを見に行けなかった」という原稿を書きたくなった。


帰り道、
やまだないと「ビアティチュード」(モーニングKC)を読んだ。


彼女の夢見たトキワ荘(劇中ではトキオ荘)を舞台にした
昭和30年代のような
平成20年代のような
妄想の漫画青春ストーリー。


回顧でも懐古でもない過去がある。


生きられなかった時代を彼女が
今、あえて描くということについて、
過ぎた時代の日本のメロディを今歌うという
前園直樹グループのコンセプトと
だぶってにじんだりしているような部分があるかもしれない。


演奏を見てもないくせに、
なんつって
思い馳せるのはこっちの勝手だよ。


やまだないとという
ちょっと苦手だった作家の
ほのかに熱い芯に触れたような気がした。
これは、いい漫画。


読んでいるうちに
またしても電車を乗り過ごしそうになった。
そんな前園直樹グループを見過ごした夜だった。