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なにかあり/とくになし

集大成のような原点のような

年の暮れに
鴬谷に向かう。


途中の山手線田端駅で
女性の声で流れるアナウンスのテープが
ちょっと変だとツマが気がついた。


一回目の「たばた」は普通のアクセントなのだが
二回目は「た(→)ば(→)た〜(↗)」という
うわすべりなアクセントになっているのだ。


あれは何なんだろうか?
ほかの駅もそうだったっけ?
日暮里、西日暮里は
とりあえず違うな……。


そんな疑問はさておき
鴬谷で降りた。


東京キネマ倶楽部
サケロックを見る。
それが
風物詩のようになってしまった。


今年は開催が日曜日ということで
「さゝのや」で焼き鳥をぱくつくことが出来ないこと が
すこし残念。


ほぼ定刻通りに
ライヴははじまった。


「MUDA」は
4人でつくったアルバムだから
今日は4人だけのライヴ。


このすばらしく優雅なハコ、東京キネマ倶楽部では
これまでも
彼らの母校の合唱団を見たり
ストリングスを見たり
いろいろな仕掛けを見てきたけど
最初から最後まで
4人の間だけでの音のやりとりという構成は
初めてだと思う。


アコースティック・コーナーなんて
テンポ・チェンジも用意されていて
「モズレア」なんて
めずらしくてうれしい曲も演奏されて(ビルボードでもやったそうですが)。


星野源テレキャスをかまえ
「MUDA」からの曲をつづけて演奏した中盤。
「MUDA」は素晴らしいアルバムだと思っているけれど
生で聴くと生なりの
よりいっそうの手応えがある。


夏休みに急に背が伸びたクラスメートに会ったような
予期せぬドキドキと、
魔法を手にしたはいいけれど
本人たちにもまだ力加減の具合がよくわかってないような
不思議な初々しさ。
その両方を感じた。


ハマケンがMCで言った
「集大成のような原点のような」という表現も
言い間違いかもしれないけど
意味はあながち間違ってないんじゃないかな。


たぶん
「MUDA」からのナンバーが
すくすくとバンドのなかで育って
ライヴのあちこちに居場所を見つけていくことで
きっと彼らはもっと手足を自由に伸ばせるようになる。


「MUDA」の曲では
お客さんの揺れ方もいつもとは違って見えた。
その揺れ方にも
きっとこの先があるはずだ。


帰りの山手線。
田端駅をでもう一度
アナウンスを確認する。


「たばた〜、たばたです〜」


ああ、やっぱりおかしい。
どういうコンセプトなのかわからないけどさ。
そのまま「たばた〜、たばた〜、たばたばた〜」と
スキャットしはじめたらどうしてくれるんだ。


そう思ってしまうくらい
気分のいい夜でした。


ちなみにこの田端問題
すでにお気づきのかたも多いようで。



最後に
キャプテン・ビーフハートの逝去に数行黙祷。





































え?
あなたも?