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なにかあり/とくになし

スーパーサブ、中村紘子

昨日も告知しましたが、
ライナーノーツを書いた
ジャック・マクマホン「ベター・レイト」、
VIVID SOUNDより本日発売です。


「CDジャーナル」10月号発売。
渚ようこインタビュー(歌謡曲特集の一環)、
DVD「マイ・ウェイ・マイ・ラブ」レビュー、
隔月連載「暁の輸入盤ハンター」書いてます。


クラシック・ピアニスト中村紘子の書いた
ピアニストという蛮族がいる」(文春文庫)が
とてもおもしろかった。


たぶん、
買付でアメリカに行く機内で読むために何ヶ月か前に買っていて、
不運にもスルーされていた一冊。


こないだ、
その日は気になる週刊誌(漫画)の発売がないという理由で
出がけに本棚から救出されたのだが、
これはグレートなスーパーサブになった。


中村紘子のさばさばした文体がいいというのもあるけれど、
まずは採り上げられている
いにしえのクラシック・ピアニストたちをめぐる
エピソードのおもしろさに尽きる。


たとえば、
明治時代の文豪、幸田露伴の娘は
日本最初の本格的ピアニストであったとか。


たとえば、
森鴎外の娘、森茉莉
女性小説家、宮本百合子
子供の頃にピアノを習った女性のたどった
過酷な運命とは?


そのいちいちのエピソードの、さらい方がいい。
突き放して対岸の火事にせず、
かといって過剰に同業相哀れむでもない。
ここちのよい脱線がいい。


ぼくの好きなタイプの距離感が文章にある。


文庫の初版が95年.
これを読んだ漫画編集者が
のだめカンタービレ」のアイデア二ノ宮知子に薦めたと
勝手な妄想をするのは読者の自由です!