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なにかあり/とくになし

実録 12月31日

正月休みに入ったということで
少しだけ遅く起きた。


年賀状の印刷をしたり、
ツマと正月用の食材の買い出しに行ったり、
宿題となっている取材のまとめをやったり、
東京に居残った中野の弟と年始の予定を確認したり。


そんなこんなのうちに日もとっぷり暮れて、
みそかの街へと。


今年のレコード締めは
阿佐ヶ谷「ゴーゴーレコード」で
何故か庄野真代「中央フリー・ウェイ」7インチ。


続いて渋谷で
今年の書籍締めは
黒沢進黒沢進著作集」(シンコーミュージック)で。


雑誌「Hot Wax」責任編集、
というより、
吉田明裕責任編集。


黒沢さんが
生前に各音楽雑誌に寄稿していた文章を
若き日の投稿にまでさかのぼって収録した大全で、
青い装丁の、分厚い本である。


一応「Vol.1」とサブタイトルにはある。


今年亡くなった黒沢さんの仕事としては
「日本ロック紀GS編 コンプリート」が
先日出たことは知っていたが、
こっちはうっかり失念していた。


ま、いいか。
最後にこうして出会えたんだから。


不意に出くわして大いにうならさられるところも
黒沢さんの文章の真髄のひとつだったと思う。


大好きだった「シネマは唄のためにある!」全50回も完全収録。
60年代を中心にした日本映画で
和製ポップスやGSが歌い演奏されるシーンを
徹底的に追いかけ、
見聞していったもので、
「レコードコレクターズ」に96年から連載されていた。


まとめて読み返すと、
黒沢さんの「これを見たい」という願望が
CS放送のプログラムの拡充などにより、
リアルタイムで叶えられてゆくさまが
ちょっとしたドキュメントにもなっていて、
これがしびれる。


なにしろ、
こっちは後付けとは言え、
連載が50回(2000年7月)で終了していることも、
今年、お亡くなりになったことも知っているから、
ハラハラする。


50回のうちに、
このひとの夢は叶うのかどうかハラハラする
サスペンス・ムーヴィーみたいでもあるし、
何とかこのひとの夢を叶えてあげたいという気持ちにさせられる
ラブロマンスのようですらある。


マニアックな知識を
研究心で突き詰めて呈示しながら
そのマニアックな知識を
愛情が瞬間的に追い越してしまっているようなところがあり
そこが最高にチャーミングに結実しているのだ。


ああ、それにしても、
この連載のみ本書から切り取り、
カラーグラビア付きでポケット文庫化出来たら
毎日毎晩毎風呂持ち歩き、読み返すのに。


そんなことを考えながら読みふけっているうちに
東横線は横浜に。


クレイジーケンバンド横浜ブリッツ
年越しライヴ「SAYONARA 2K7」へ。


満悦したあと、
行きの道すがらに遭遇したT辺くんと
横浜駅地下ドトール
いろんなことをダベる。


気がつけば時計は午前3時。
しゃべりすぎたぼくたちは
2008年に、ずぶずぶとのめりこんでいた。


「午前3時のハプニング」って曲が
ゴールデン・カップスにありましたね、黒沢さん。