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なにかあり/とくになし

デューイ・コックスのとりこになるでしょう

伝説のロックンローラー
デューイ・コックスを知ってますか?


ロックンロール黎明期に登場し、
ビートルズとも肩を並べた男。


デューイ・コックスのアルバム「Walk Hard」は
今すぐ手に入れるべきだ。


何故なら、
デューイ・コックスとは、
アメリカの石立鉄男こと(勝手にそう呼んでます)
俳優ジョン・C・ライリーそのひとが扮した
架空のロックンローラーだからだ。


デューイ・コックスの偉大なる人生と
その音楽を追った愛おしすぎる映画、
それが「Walk Hard : The Dewey Cox Story」。


ジョン・C・ライリー
ジョン・C・ライリー自身のために用意した
最高で最低の音楽コメディであるらしい。


そして、
劇中で彼が歌う名曲の数々を収めたサントラが
デューイ・コックス名義のベスト・アルバム仕立てになっている。


ジャケを開けると
その名曲のシングル盤ジャケ(もちろん架空)がズラリ。


タイトル曲の「Walk Hard」は
マーシャル・クレンショウとの共作で、
ジョニー・キャッシュ・マナー。


他にもライリーは
マイク・ヴィオラ(キャンディ・ブッチャーズ)や
ダン・バーンらと共作(おそらく歌詞)をし、
どこかの誰かに似ているようで
どこにもいないデューイ・コックスに興じる。


そして何よりの驚きは
「Black Sheep」という一曲。


この曲を書き、
アレンジとオーケストラの指揮を担当したのは
何とヴァン・ダイク・パークス


これがまた「ソング・サイクル2008」と言いたいくらいの
ジェットコースターとメリーゴーラウンドが合体して
いっぺんにぐるぐる回っているような
とんでもない出来上がりになっている。


この曲が21世紀に生まれたという事実だけで
ぼくはずっと上機嫌でいられる。
ホントですよ。


さらにその曲に続くのが
一曲だけカヴァーで
デヴィッド・ボウイの「Starman」。


しまりのないマヨネーズのチューブのような
デューイ・コックスの声で
名曲が蹂躙される。


この選曲、
やっぱりジョン・C・ライリーの趣味だろうか?


いつかライリー本人に
「あなたの趣味だったんですか?」と訊いてみたい。


マグノリア」での警官役が一番好きです。
「タラテガ・ナイト オーバルの狼」で演じた
ウィル・フェレルの頭の弱い相棒レーサーも好きです。
「今宵フィッツジェラルド劇場」での
インチキ臭い男性カウボーイ・デュオで
ウディ・ハレルソンと歌った姿も素敵でした。


いやいや、
ここで歌っているのは
ライリー本人ではなく
デューイ・コックスなんだから
そういう質問をするのは野暮だ。


好きですと告白したい気持ちをぐっと抑えて
この偉大なるロックンローラーに質問するのだ(夢想)。


まだ映画本編は見ていないけど
you tubeで予告篇を見る限り、
ぼくはデューイ・コックスのとりこになるでしょう。


ああ、
夢のような
夢を越えた現実がやってきた。


CDを再生するたび、
言いようのない至福につつまれっぱなし。


はたから見たら
気持ち悪いほどにやけた顔をしているだろう。