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なにかあり/とくになし

エイプリル・マーチのこと:補遺

あーあ。
「グラインド・ハウス」の2本立てヴァージョンが公開終了。
見逃してしまった。


今後はタランティーノデス・プルーフ」と
ロバート・ロドリゲスプラネット・テラー」が
順次、別々に公開とのこと。
お話としては独立しているわけだし、
別々に見たっていいのだろうが、
作品全体を包むB級映画館疑似体験というコンセプトが消滅。
餃子のアンだけ食わされるようなものではないのか。


それでも、
エイプリル・マーチの「チック・ハビット」が
劇中で流れるという設定の誘惑には抗しがたく、
たぶん、そのうち行くでしょう。


餃子のアンの
そのまた
隠し味を探りにいくような気持ちで。


ところで、
その「チック・ハビット」について
8月26日に書いたことの補遺を少々。


セルジュ・ゲンズブールフランス・ギャルに書いたこの曲、
もともとは「Laisse Tomber Les Filles」が原題。
「娘たちにかまわないで」という邦題もついている。


この曲に「チック・ハビット」という英語詞を付けたのは
エリノア・ブレイクという女性。
すなわちエイプリル・マーチの本名である。


そのオリジナル・リリースは
95年にリリースのシングル盤2枚組仕様。
60年代フランスで盛んだったEPのスタイルを模したもの。
リリースしたレーベルは
シンパシー・フォー・ザ・レコード・インダストリー。


このころの彼女を
カヒミ・カリイと会わせてみたら
面白かっただろう。


エリノア・ブレイクの名前で
彼女は80年代の暮れに
プッシーウィロウズというガール・グループで活動した。
「Spring Fever」というミニアルバム(プチ名盤!)と
シミー・ディスクから出ていたラトルズのトリビュート盤に
一曲参加している。
カヴァーした曲は「Hold My Hand」。


シットバーズというパンク・バンドにも在籍していた。


楽曲としての「娘たちにかまわないで」は
もともとツイスト調の人気曲で、
かつて小西康陽
クレイジーケンバンド「葉山ツイスト」のリミックスをした際に
見事にダブらせて見せている。


そのとき小西氏の脳裏にあったのは
フランス・ギャルのオリジナルだったか
エイプリル・マーチのカヴァーだったか、
それは不明だが、
ぼくは「エイプリル・マーチだ!」と心中で勝手に叫んだ(1999年暮れ)。


エイプリル・マーチの日本盤CDを97年に発売した
Horenレーベル主宰の東瀬戸悟は
そのCD「ゲンズブールに恋して」のライナーで、
エリノア・ブレイクは
アンディ・ペイリーとブライアン・ウィルソンとともにレコーディング中で
お蔵入りになりませんように、
と書いている。


残念ながら2007年現在、
その音源はお蔵入りになっているもよう。