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なにかあり/とくになし

おしらせがきた

夕方かかってきた電話は、
おしらせだった。


ここのところ
おしらせというと訃報だったりして
何だかいやなものが多かったのだが、
今回はちょっと違った。


10日にライヴを見に行こうというのだ。
しかし、その日はどうしても都合がわるく
ぼくは行くことが出来ない。


そこに行けないことは
結構痛恨だ。


友人が伝えてくれたミュージシャンは
まだ19歳で
名前をラキタという。


父親もミュージシャンだったが
2000年に亡くなった。
母親もミュージシャンだ。
ふたりとも
ひとかたならぬ存在だった。


その息子が
やっている音楽を今日の今日まで知らなかったことは
不覚だ。


ここに行けば
一曲だけ、さわりの一分足らずだけ
ラキタの曲を聴くことが出来る。


びっくりした、と言いたいが
まだ言わない。
彼のこれから作る音楽でもっとびっくり出来そうな予感もするし、
音楽なんて場所からは軽々と離れてしまいそうな不穏な才気も
強烈に感じる。
そんな53秒を
ぼくは体験した。


電話には少しだけつづきがあり、
それはぼくの夏の宿題に関するものだった。
冷えた汗がつるっと出た。