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なにかあり/とくになし

極私的「まんが道」もしくは「BAKUMAN」

明け方からもそもそと
部屋にこもる。


“部屋”というのは名ばかりで
レコードと本の物置(かつ猫の避暑地)なのだが、
今の住居に引っ越しを決めた当初は
ぼくの部屋になるはずの場所だった。


その“部屋”で何をしていたのかというと、
売却する漫画を選定していた。


藤子・F・不二雄大全集という
やっかいなシリーズの刊行が始まって
ぽつぽつと購入を始めているのだが、
ならば場所を作りなさいとのツマからの叱責。


とりあえず50冊は処分しますと約束をして
棚に向かった。


ふう。


呻吟すること数十分、
運び出された漫画たちはその日のうちに売却された。
約50冊で2500円ちょいであった。


ところで
こういう作業のいいところは
普段開けていない場所に日を当てたり、
死角に視線を向けさせてくれること。


思わぬところから
10年近く前の仕事ファイルが出て来た。


ライターを始めたばかりのころの原稿や
ミニコミ的な資料、写真の束など。
ぼくにはこういうものを整理する器量はない。
どこかの時点でツマがやってくれていたものだろう。


2001年に作った「小野瀬雅生読本」のときに
キングジョーと合作した漫画(見開き2ページ)の原画が出てきたとき、
「ひょっとして……」と何か思い当たるものがあった。


ばさばさとファイルをめくってゆくと、
それはあった。


とある漫画家志望の女性とコンビを組んで
おそれおおくも某有名音楽雑誌に
新連載にどうですかと持ち込みを画策した
描き下ろし漫画のシリーズだった。


このことについては
ここにも書いている。


わが人生に瞬間的に訪れた極私的「まんが道」、
いや原作と漫画のコンビだから「BAKUMAN」であった。


出て来た漫画は全部で4つほどあり、
実際に持ち込みをしたと思っていたものとは
内容が全然違っていた。


おそらく
連載が決まったときのために
ストックとして描いておいたものじゃなかったかな。


なんとまあ、能天気な……。


数年ぶりに作品と対面した正直な感想は、
うーん……しょうもない。
だが、この煮ても焼いてもためにならない感じは
いかにも自分らしくておもしろい、とも思う。


これ、どうなんだろ。
みなさん読みたいですか?
恥と知りつつ発表するかどうか
もう一日だけ考えてみます。