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なにかあり/とくになし

マーマレードちゃん

ことあるたびに
「少女漫画のおもしろいのないすか?」と
ひとに訊き続けているのだが、
なかなかいろよい返事がない。


たいていの女性は
少女時代には漫画を読んでいても
おとなになると
現実の方が楽しくなって
漫画を読むという行為を卒業していくことを知った。


たまたま読み続けているひとがいても
そういうひとは
玄人の“漫画読み”になっている場合が多い。


玄人だけに
ぼくの年齢や容姿を気遣ってか、
男性が読んでもおもしろいですよという作品を
薦めてくれるのだが、
おいどんはもっと女子の世界で
ときめきたいと思うんでがす。


そんなぼくの希望を知って
ついに「これよ!」という推薦をいただいた。


その作品とは
萩尾望都の「マーマレードちゃん」。


白泉社文庫「この娘うります!」に収録されている短篇で
わざわざ付箋をつけてくださった。


しかも一冊手元に余っているとかで
文字通り、このぼくに“くださった”のだった。


萩尾さんと言えば
ぼくが小学生のころに読んでいた「少年チャンピオン」で
百億の昼と千億の夜」を連載されていたが、
ごめんなさい
飛ばして読んでました。


おとなになってから
「11人いる!」や「トーマの心臓」あたりの
いわゆる“男も読める”系の少女漫画名作には手を出したが、
なるほどね、
やっぱりそれはそれ、
女子の直感を刺激する
ジェットコースターのようなロマンチシズムは
マーマレードちゃん」の方にあった。


筆も話もノンストップで走る走る。


感動しました。
ありがとう、Americoの西岡さん。


ちなみに
「この娘うります!」に収められた
70年代前半の短篇群のテイストを
もっとも忠実に継承かつパロディしていたのが
東村アキコひまわりっ健一レジェンド〜」の中で
猿渡副主任が突如劇中で繰り広げる寸劇の世界。


実際、
連載終盤、
猿渡副主任が出版社のパーティーに乱入し
萩尾望都ご本人にサインをもらい感涙するというストーリーが
その伏線の収拾になっていた。


そういうことも
このプレゼントのおかげでわかりました。


もう一度言います。
西岡さん、ありがとうございます。
そしてみなさん、
女子による女子のための女子の漫画の名作、
どしどし推薦をお待ちしてます。


なお蛇足ながら、
ひまわりっ」本編の最終回、
素晴らしかったと思います。