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なにかあり/とくになし

「おんなのこ物語」前編

「音の聞こえる漫画なんです」


確か彼女はそんなようなことを言った。


おもしろい少女漫画があったら教えてください。


そんなことを日ごろ言ったり書いたりしていたら
ありがたいことに
いろいろと教えをいただく。


さらに
ときには
漫画そのものをいただいてしまったりもする。


今日もまた
ハイファイに来たお客さんの女性から
知らなかった傑作を本ごといただいてしまった。


萩尾望都マーマレードちゃん」に続く
今回のプレゼントは、
それは森脇真末味(もりわきますみ)「おんなのこ物語」文庫版全3巻。


1980年代初めに
「プチ・コミック」で連載されていたとあるが
今日の今日まで
この作品のことはまったく知らなかった。


80年代初めは
ぼくが「少年ジャンプ」を読んでいた時代だ。
いや、「ジャンプ」をそろそろやめて
うる星やつら」が載っている
「少年サンデー」に移るころかな。


帯には
70年代ロック・バンドの挫折と成功を描いた
伝説の作品というような意味のことが書いてあった。


ほんとかいな。
だとしたら
タイトル「おんなのこ物語」と内容が合ってないよ。


しかし
その一瞬の逡巡を
彼女のひとことが打ち消した。


何はともあれ
これは大事なプレゼント。
そしてプレゼントであると同時に
「これも知らずに少女漫画を語ろうだなんて」という
果たし状でもあるはずだ。


これからキャロル・キングジェームス・テイラーを見にゆくのだと
彼女は言った。


そして
お店を抜け出した夕方
ぼくは近所のルノアール
「おんなのこ物語」1巻を読み始めた。


こ、これは……。


続きは明日書く。