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なにかあり/とくになし

てんてんこまちが瞬かん速

イルリメこと鴨田潤の小説単行本
てんかんこまちが瞬かん速」(ぴあ)を読み終えた。


Twitter上での感想はこちら。


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鴨田潤 @illreme の小説「てんてんこまちが瞬かん速」読了! 言葉のチョイス、テンポが素晴らしいのは予想していたけど、ぐっときたのは人間が先に踏み出すときに揺れ移ろう気持ちの描写、すなわちそれはストーリー。


(つづき)スピードに呆然。アイデアに唖然。ジャンプ力に驚愕。人物描写にかいま見える作者のやさしさに落涙。そして、聴いたこともない音楽が頭のなかで鳴りっぱなしになって、じっとしていられなくなり外に出た。この本を読んだあとの読者の(あてなんかない)外出率、相当高いはずだ!


「てんてんこまちが瞬かん速」をイルリメ朗読カセットでも聴きたいと思うのは、ワガママかなあ。たとえ2時間かかっても、聴き終えたら、あっというまだったと思う確信あり。文字通り、「あっ!」と言う間、を持つ一冊。


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さらに後日、
細馬宏通さんの「カーネーション」についてのツイートに便乗するかたちで
もう一筆。


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細馬宏通さん @kaerusan が書いていた「カーネーション」のナレーションのポイントに完全同意。そして、それと同じようなことを鴨田潤「てんてんこまちが瞬かん速」にも思いました。「わたしには全部わかってるんですけどね」という「神の視点」を持ち込まずに物語を描写する意識のこと。


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Twitterでは書ききれなかったことを
すこしだけ追加(少々ネタばれにつき未読のかたは注意)。


このステキにスピーディーな物語は
題材としては音楽小説なのだが、
多くの音楽小説が陥る
音楽にまつわる知識に頼った
「ああ、あれね、あのバンドがモデルね」的共感や追憶を極力排し、
むしろ
「そう、そこ!」的直感に世界を支配させている。


実はそこに
この小説の一番の素晴らしさも異色さもある。


登場するバンドが
すべてガールズ・バンドであるという設定も、そう。
そんな世界は
実はどこにも存在しない。


でも
そうでなくちゃいけなかった。
女子の直感を
女子の判断力を
男子の鈍さでゆるませないことが
このストーリーには必要だった。


その設定を
本能的に選べた
そして書き抜けた(駆け抜けた)ということに
鴨田潤の超能力はあるのだと思う。


本を手にしている自分が
字を読んでいるのか
字を聴いてるのか
わかんなくなる瞬間があった、いくつも。


そういう意味で
併載の「しゃん、ぐりら.」も大好きだ。
主語がとろける
日常の、地元の、
どこにでもあるサイケデリック


最後にひとつ。


「てんてんこまちが瞬かん速」に登場する
数々のガールズ・バンドのなかで
もしも現実にひとつだけ音を聴かせてもらえるとしたら?


ROLLING SOBATも
SWANKY SWANSも聴きたいけど
やっぱりここは
岡山のバンド、HackTooをリクエスト!