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なにかあり/とくになし

むかしの歌

columbia*readymadeの新コンピ
「うたとギター。ピアノ。ことば。」の
ヘヴィーユーザーになってしまった知り合いが
少なくない。


今日はぼくはB面から聴いた。


CDにB面はないので
実際のところは6曲目の
レモンが歌う「歌姫」から聴いた。


そのあと、
買ったばかりの
ヴェティヴァーというアメリカ人バンドの新作を聴いた。


タイトルは
「シングス・オブ・ザ・パスト(Things Of The Past)」。


このバンド、
デヴェンドラ・バーンハートのバックを
務めたのか
今も務めているのか、
ぼくの情報は頼りないが
若いバンドであることは間違いなさそうだ。


このアルバムは
全曲カヴァーなのだが、
そのでどころがすごい。


エリス・ウェインバーグ
ロニー・レイン&スリム・チャンス
キャシー・ハイデマン
ノーマン・グリーンバウム
ビフ・ローズ
マシューズ・サザン・コンフォート
ガーランド・ジェフリーズ
ホークウィンド
ラウドン・ウェインライト三世
マイケル・ハーレイ
タウンズ・ヴァン・ザント
ボビー・チャールズ


ボビー・チャールズは
「シー・ユー・レイター・アリゲイター」で知られる
ロックンローラー時代ではなく、
ちゃんとあのベアズヴィルのアルバムからの選曲。


キャシー・ハイデマンという女性シンガーについては
中古レコード屋のバーゲン・コーナーで見つけただけで
彼らも何も情報は持っていないのだそう。


デヴェンドラの“ひき”で
レコーディングには
マイケル・ハーレイとヴァシュティ・バニヤン
顔を出している。


ちょっと前だったら、
こういうアルバムに対して
「はいはい、あんたたち、よく聴いてるね」と
ぼくは食傷した。


しかし今、
このアルバムをぼくは素直に聴けている。


趣味の割には素直なバンド・サウンド
好感を持ったという面もあるが、
重要なのは
ここで歌われている昔の歌が
今と縁が切れた
きちんとした昔になっているということだ。


彼らが中古レコード屋
CDショップで見つけた
古い昔の歌で好きな曲をやったのだという以上の
エクスキューズはない。


いにしえをいたずらに愛でて
自分に投影したりするまどろっこしさと
ようやく切り離された
ただの古さが表現できていると思えた。


古さにすり寄ってない。
今と古さが対等なのだ。


新しさは
そういう古さにも宿る。


アルバムに邦題を勝手につけるなら
「むかしの歌」。


ジャケットがよいので
アナログも出たら買いたいと思っている。