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なにかあり/とくになし

きみの鳥はうたえる

友人のデザイナー高瀬康一さんが開設したホームページで
毎日更新されているブログが興味深くて
ずっと読んでいた。


高瀬さんは
筋金入りのビートルズ・ファンで
今回発売のモノラル・ボックスを購入後、
一枚一枚を挙げながらつらつらと更新を重ねていた
「高瀬康一のモノラル・ボックス・エッセイ」(これは勝手にぼくが命名した)が
とてもよかった。


残念ながら
「ホワイト・アルバム」に到達して
そのシリーズは最終回になってしまったのだけれど。


リマスターが行われて
こういうところの音がよく聞こえるようになりましたとか、
そういう解説はあってもいいと思う。


でも
本当に後世のために今回のリマスターを問うたのだとしたら、
音がよくなって
そのひとにはCDの音以外の
何が聞こえ、何が見えるようになったか、
そういうところを突き詰めて考えて明かしていくことの方が大事な気がする。
少なくともぼくはそういうものが読みたい。


そういう意味でも
あのシリーズは好きだった。


ところで
高瀬さんのブログの「リヴォルヴァー」の日、
タイトルが「しかも君の鳥には歌がうたえる」だった。


昔、
ある外人ミュージシャンのライヴの打ち上げに参加したときに
ビートルズの曲をひとり一曲ずつ挙げて
誰のセレクトが一番ヒップと思うか審査するという
ちょっとした酔っぱらいの遊びをやったことがあった。


そのとき
ぼくが挙げたのが
「アンド・ユア・バード・キャン・シング」で
見事に一等賞をいただいた(賞品はビール)。


この曲が単純に好きなのでとっさに浮かんだのだろうが、
ひょっとしたら、
佐藤泰志という小説家の作品をよく読んでいた時期があり
中でも「きみの鳥はうたえる」という本が
とても好きだったからかもしれない。


こないだ本を整理しているときに
佐藤さんの本は「黄金の服」や「移動動物園」は出てきたのだが
きみの鳥はうたえる」は見当たらなくなっていた。


まさか「フリー・アズ・ア・バード」したんじゃないだろうな。


無職期(10年ほど前)に
お金に困って手放したという意味だ。


今、佐藤さんの作品は
古書では結構な値段なのだが、
佐藤泰志作品集」(クレイン社)という分厚い選集が出ていて、
きみの鳥はうたえる」はそこで読むことが出来る。


あらたに買うべきかどうしようか
今考えているところ。